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No.204 JRSメール配信サービス(2017.04.24)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

今号は、コンプライアンス経営に係る第二回目、「コンプライアンスの実践のために大切なこと」をお届します。

前回は、「コンプライアンス経営の意義と落とし穴」というテーマで、コンプライアンス経営の意義を、「信用ブランドを蓄積し、企業価値の向上に寄与していく」ことと捉え、そして「このくらいなら法令違反にならない」などと自分の都合で解釈し、知らず知らずのうちに違法な行為に手を染めていく「落とし穴」も多いことを、紹介しました。

今回は、その「落とし穴」に入らないためにも、コンプライアンスの実践において何が大切かを、中小企業診断士グループの「Cの会」所属の松浦尚之氏により、解説していただきます。

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

 コンプライアンスの実践のために大切なこと

 

 

 

「コンプライアンス」という言葉を日常的に目にするようになったのは、国内自動車メーカーによるリコール隠しが問題になった2002年頃だったと記憶している。

ではそれまで「コンプライアンス」の実践が全くなかったかというとそんなことはない。「就活」や「終活」といった言葉と同様に、以前と比べて世間から一層注目されるようになったからである。

その背景としては、コンプライアンスを実践するには、従来よりも時間とお金と労力を投入する必要が生じてきたからであろう。

今回は、コンプライアンスの実践には何が大切か、そのポイントを考えてみたい。

 

1.実現可能な目標を設定する

あるべき姿を過度に追求するあまり作業量が膨大となり、いつしかコンプライアンスの実践が「手段」ではなく「目的」となっている事例を見かける。

コンプライアンスの実践では、少しずつ高い目標へと進むような計画を立てるのが効果的である。

例えば、前年度重大なコンプライアンス違反が2件、軽微なものが10件あったとすれば、今年度は全て0件を目指すのではなく、重大な事例を0件とし、軽微なものをより少なくするような計画が、実現可能性が高く、意味があると言えよう。

 

2.「法令」には留意すべきである

諺に「法の不知はこれを許さず」というものがあるが、法令を知らなかったことを理由にして犯した過ちの責任から逃れることはできない。

以下のような点を参考にしていただければ、思わぬ「落とし穴」にはまることも防げよう。

 

(1)企業は「ヒト・モノ・カネ・情報」で動いているので、それらにまつわる法令等に気をつける。例えば、一般法の民法だけでなく、商法・会社法、労働法規、環境法規、知的財産関連法規、そして企業間の契約などがあげられる。また、「男女雇用機会均等法」や「個人情報の保護に関する法律およびガイドライン」といった人権にかかわる法分野も、一定程度の知識は必要である。

(2)事業活動は、ファイブフォース分析によれば、「顧客、仕入先、業界内部、新規参入業者、代替製品」の5つの競争要因に影響を受ける。そのため、それらとの関係で、アンフェアとは見做されないように注意する。例えば、下請法に該当する取引において、納品を受けた後に発注者が一方的に仕様を変更し、不当に製作をやり直させることは、法令に抵触する。

(3)業界団体の自主規制ルール等も法令に準じるものとして取り扱うべきである。例えば、日本化粧品工業連合会が制定した「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、エイジングケアの不適切な表現として、「あきらめないで下さい。エイジングケアで若さは再び戻ります 」という事例を示し、会員に注意を促している。若返りを保証するような表現は、誇大広告にあたる。

 

3.ルールの記述はわかりやすい記述を心掛ける

「ルール(会社規則)」を作成するときには、従業員が読んで理解し、行動として実践できる表現とすべきである。

第一に、平易な話し言葉で書くこと、第二に、具体的な行動の場面に即した書きぶりにすることである。

 

(悪い例)

電子計算機を業務の用に供するにあたっては、利用者を識別する符号および認証を得るために入力する文字列を、複数の従業員で共用することを禁ずる。

 

(良い例)

業務でパソコンを使う場合に、IDとパスワードを社員間で使いまわししてはいけません。

 

4.コンプライアンスの実践では「周知」だけでなく「教育」も大切である

法令や会社規則の条文は、読んだだけでは理解しにくいものが多いので「教育」が必須である。加えて、「教育」においては、条文の読み上げだけではなく、具体的な「事例」も交えて紹介することが望ましい。

 

5.まとめ

 読者の方々には今一度思い出してほしい。ひと昔前に、続々と表出した食品偽装事件のことを。業績を回復するまでに何年もかかった企業もあれば、上場廃止だけではなく、伝統ある社名まで捨てざるを得なかった企業もある。そして解体してしまい、社会から存在することさえ否定され、我々が思い出すことすら叶わない著名企業もある。

我々が経営もしくは勤務する企業が、コンプライアンス違反により消滅することのないよう、肝に銘じて取り組みたいものである。

 

 

 

中小企業診断士グループ Cの会

松浦尚之

 

 

 

 

 

関連情報

 

 

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情報番号

 

 

 身近な「コンプライアンス」

20160612

 

 

 中小企業に適したコンプライアンスのあり方

20160613

 

 

 中小企業に適したコンプライアンス規程の作り方

20160614

 

 

 中小企業に適したコンプライアンスの運用の要点

20160615

 

 

 ポイント3/法令順守と業務の効率化のバランスが重要

20071424