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No.219 JRSメール配信サービス(2018.07.30)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

今回は、「働き方改革」シリーズ4回目です。

629日に「働き方改革関連法案」が成立、いよいよ「働き方改革」への対応が待ったなしの状況となりました。中小企業に対する「時間外労働の上限規制」は、20204月に導入されます。

前回のメルマガでは「時間外労働の上限規制」の具体的な内容について解説いただきましたが、今回は、中小企業の現状とどのような対応が考えられるかについて、引き続き、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士倉持俊雄氏に、解説していただきます。

 

 

 

 

 中小企業の時間外労働の現状と今後取り組むべき方向

 

 

 

働き方改革法が、2018629日に成立した。これに伴い、2020年4月より中小企業に対して、時間外労働の上限規制が適用される。そこで、中小企業の時間外労働の現状について、東京商工リサーチ「長時間労働に関するアンケート調査」から見てみることとしたい(注1)。

まず、残業の有無であるが、「恒常的にある」が53.6%、「時々ある」が38.8%であった。

次に、残業の理由については、「恒常的にある」もしくは「時々ある」と回答した中小企業の40.6%が「取引先への納期や発注量に対応するため」を挙げている。次いで、「仕事量に対して人手が不足している」が22.9%、「仕事量に対して時間が不足している」が19.8%であった。中小企業にとっては、取引先との関係を維持するために時間外労働をせざるを得ない場合が多いことが窺える。

時間外労働の上限規制がなされた場合の中小企業への影響はどうであろうか。最も多いのは「仕事の積み残しが発生する」の28.2%であった。次いで、「受注量(売上高)の減少」が17.6%、「従業員の賃金低下」が15.1%であった。中小企業においては、残業削減による納期遅延や受注量減少などの経営面での影響が懸念される。

 

それでは、中小企業はどのように、経営への影響を避けながら、時間外労働削減に取り組めば良いのであろうか。厚生労働省「時間外労働削減の好事例集」(注2)によれば、取組の多い上位5施策は以下の通りである(複数回答)。

①従業員間の労働時間の平準化(77.8%)

②残業を事前に承認する制度の導入(77.8%)

③従業員の能力開発の実施や自己啓発の支援(76.6%

④年次有給休暇取得促進の取り組み(72.7%

⑤IT環境の改善(66.8%

取組割合はやや低いものの「ノー残業デーやノー残業ウィークの設置」(60.3%)も効果を上げているようである。

 

具体的にどうすれば良いかの参考のため、効果をあげている事例を紹介したい。

港湾運送業A社は、残業の事前申請と業務の平準化により効果を上げている。

始業時、終業前のミーティング時に、管理職が残業予定者の業務内容と退社予定時間を確認、急ぎの業務以外は翌日に行うよう指導したり、他の社員へ仕事を割り振ったりするなどの調整を行っている。さらに、月2回残業実績を管理職から報告させている。残業の多い部門は、その都度理由も報告させ、みだりに残業しないよう管理している。また、特定の人しかできない業務があると、その人に業務が集中し長時間残業につながることから、各職場で必要とする技術・能力、資格・免許を整理し、必要な教育や人事ローテーションを計画的に実施し多能工化を進めることで長時間労働の抑制を図っている。

運送業B社は、各自が決めるノー残業デーと業務効率向上の目標設定で効果を上げている。

ノー残業デーは一律ではなく、各自が週1日自分で決定し共通ファイルに記入することで、お互いに確認できるようにしている。また、半年に一度、各自が業務上の課題を抽出して、業務効率向上の目標を設定し、達成基準など記載した計画書を作成。毎月進捗管理を行うことで業務効率化を進め、労働時間の削減につなげている。

 

残業削減による納期遅延や受注量減少などの経営面での影響が懸念されるが、まずは「残業を事前に承認する制度の導入」「ノー残業デーやノー残業ウィークの設置」等の形から入り、時間外労働削減意識の醸成をはかりつつ、業務の改善・見直し、従業員の能力開発、ITの導入などの取組を組み合わせて講じていくことが、効果を上げるために求められる方向と言えよう。

 

(注1)2017年2月14日~24日実施のインターネットによるアンケート調査。有効回答数12,519社。資本金1億円未満を中小企業と定義する

(注2)アンケート結果のほか、時間外労働削減の有効事例が多く掲載されており参考にして下さい。

「中小企業における長時間労働見直し支援事業検討委員会」受託事業。

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/120703_01.pdf

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属

中小企業診断士 倉持 俊雄

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 時間外上限規制の中小企業への影響と対策

20170731

 

 

 働き方改革①働き方改革が始まっている

20170759

 

 

 働き方改革②働き方改革の身近な事例

20170760

 

 

 働き方改革③ダイバーシティ2.0のポイント

20170761

 

 

 働き方改革④実行のマネジメント

20170762

 

 

 働き方改革と女性活躍の推進

20170795