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No.222 JRSメール配信サービス(2018.10.29)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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今回は、「コンビニ経営を支える様々な戦術」シリーズ2回目です。

最近、スーパーなどでは導入が進んでいるセルフレジですが、コンビニではまだあまり見かけません。コンビニへのセルフレジ導入に関連する話題として、昨年4月に経済産業省が発表した「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」があります。これは、2025年までに、コンビニ大手5社の全ての取扱商品に電子タグ(ICタグ)を利用することで合意したというものです。電子タグが利用できればセルフレジの普及が進むことが予想されます。

ただ、その宣言には留保条件が付いています。①現状1020円程度している電子タグの単価が1円以下になっていること、②コンビニ側ではなく、メーカーが商品に電子タグを付け、商品のほぼ全てが電子タグで管理できる環境が整備されていることなどで、実現にはまだ高いハードルがありそうです。

そこで今回は、「セルフレジはなぜ進まない」というテーマで、コンビニでのセルフレジ導入の現状について、NPO真・食の安全・安心支援機構所属の中小企業診断士 井上敬裕氏に、解説していただきます。

 

 

 

 

 セルフレジはなぜ進まない

 

 

 

 コンビニでセルフレジは普及していない?

 

「人手不足はセルフレジが解決する」「コンビニはこれからセルフレジの時代」こんな言葉を聞いて、コンビニのレジが将来セルフレジになるのも近いと感じている人も多いのではないだろうか。ところが、実際にコンビニに入ってみてセルフレジを見たことがある人はどれだけいるだろうか。大手のスーパーマーケットではセルフレジの導入も進んでおり、セルフレジを使ったことのある人も多いと思うが、コンビニではほとんどセルフレジが導入されていないのである。

コンビニでセルフレジが進まない原因は何だろうか。一般的には、コンビニのレジはただスーパーのようにかごの中の商品をバーコードで読みこむだけではなく、お弁当の温めや公共料金の支払い等多岐にわたっているため機械では代用できないといった理由や、少人数の店員しかいないコンビニ店舗では万引きなどの防犯上の問題があるといった理由などがある。

 

 セルフレジは有人レジより遅い?

 

 セルフレジは特に買い物客の多い都市部のコンビニで効果を発揮するとされている。実際に買い物客がひしめく、東京駅中のJR東日本系コンビニのニューデイズにはセルフレジが設置されている。ただしセルフレジは1台のみで、他の6台のレジは有人レジである。通勤時はレジ待ちの長い列ができるが、有人レジに比べるとセルフレジに並ぶ顧客は少ない。セルフレジでは顧客は自分で商品のバーコードのスキャンを行い、全商品のスキャンが終わるとお金を投入して精算を行う。セルフレジを扱う顧客の動作は緩慢で、どう見てもレジ打ちマシーンと化した店員のレジ打ちの方が速いという印象だ。したがって、セルフレジに並ぶ理由は有人レジに比べて並んでいる人が少ないからというものに過ぎない。

  商品を1個ずつスキャンするという動作が必要な限りは、有人レジに対するスピード面での優位性は発揮できない。この課題に対して開発されたのが、ミニセルフレジとICタグである。ミニセルフレジはバーコードのスキャンは店員が行い、料金の精算だけセルフで行うというものである。一方ICタグはあらかじめ商品にICタグを付けておくことによって、商品が入ったかごのまま一度に商品情報を読み取る仕組みである。ただICタグは全ての商品に付ける必要があるため、まだ実現化されていない。

 

 セルフレジが教えてくれる店員の価値

 

上記の内容をまとめると、セルフレジよりも有人レジの方がサービスが良いと判断することができる。コンビニの店員の仕事はレジ打ちだけではなく、商品の品出しから、スナックの調理、宅配の受付、掃除など多岐にわたる。したがって、コンビニの店員は製造現場でいうところの多能工のような存在であり、スーパーのレジ係とは一線を画す存在である。多能工は単能工よりも評価が高いように、コンビニの店員の仕事は機械に代えがたい価値があり、それが評価され、有人レジに並ぶ顧客の方が多くなっているのではないか。

さらに店員の価値は多能工のように機能的な価値だけに留まらない。機械は顧客の感情を読み取ることはできないが、人は顧客の気持ちを読み取って言葉を発することができる。ローソンではいわゆるコンビニコーヒーを店員が注いで顧客に渡すサービスを行っている。コーヒーを注ぐのに時間を取られるため、顧客が列を作ってレジ精算を待っているときなどは、見ていて気の毒になってくるのだが、ローソンではあえて手渡しにこだわっている。手渡しから、会話が生まれ、さらに新たな購買につながるというのだ。確かに、手渡しでもらったほうが、何となく商品に温かみを感じるし、店員を応援してあげたくなる気持ちも生じるものだ。「人のぬくもり」はコンビニにとって失ってはならない重要な価値である。セルフレジが進まない大きな原因は、この辺りにもあるかもしれない。

 

ただし、現在ICタグ管理の実現に向けた取組を経済産業省が推進しており、2025年までに全ての取扱商品にICタグを貼付け、商品の個別管理が実現できるよう進めている。ICタグで管理できれば、全商品の情報を一度に読み取れレジ作業の圧倒的なスピードアップが図れるうえ、セキュリティーゲートを付ければ万引防止も可能となる。人手不足と労務コストの上昇が一層深刻化して店員確保が難しいといった状況も加われば、セルフレジが一気に普及する可能性もあり、今後の動向が注目される。

 

 

 

NPO 真・食の安全・安心支援機構所属

中小企業診断士 井上敬裕

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

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情報番号

 

 

 コンビニエンスストア

02010104

 

 

 業績格差が広がるコンビニエンスストア

20130614

 

 

 コンビニの経営を支える様々な戦術

20170800

 

 

 深刻化する人手不足とその打開策について

20170732

 

 

 モバイル時代レジスターのない小売店が登場

20130618