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No.224 JRSメール配信サービス(2018.12.25)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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今回は、「コンビニ経営を支える様々な戦術」シリーズ4回目です。

高齢化や人口減少、生鮮食品小売店の減少などにより、買い物に不便を感じる「買い物弱者」が問題となっています。その解決策として注目されているのがコンビニの移動販売です。店舗が少なく高齢者の多い過疎地だけでなく、最近では、高齢化が進む東京都内の大規模団地でも移動販売を開始したとの報道がありました。ただ、移動販売は自治体等の補助金に依存しているケースも多く、その採算性を疑問視する声もあります。

そこで今回は、「過疎地でも経営は成り立つ!コンビニの知恵」というテーマで、NPO真・食の安全・安心支援機構所属の中小企業診断士 井上敬裕氏に、解説していただきます。

 

 

 

 

 過疎地でも経営は成り立つ!コンビニの知恵

 

 

 

高齢化が進む我が国において「買い物弱者問題」が指摘されてから久しい。しかし、他方では「買い物弱者対策向けの移動販売は儲からない」「補助金がなければ経営は成り立たない」というのが買い物弱者対策ビジネスの現状だ。総務省の調査によると、買い物弱者対策ビジネスの半分以上が赤字経営で、補助金等で赤字を補填して経営を続けているという。買い物難民は全国で約700万人いると言われており、今後も増加していく見込みである。

このような状況の中、過疎地域でコンビニが移動販売ビジネスを広げる動きを見せている。セブンイレブンは2011年から過疎地での移動販売事業を始め、徐々に営業エリアと台数を増やし続け、2018年には34都道府県で77台が稼働中で、2019年度までには100台を超す計画を立てている。ローソンも2012年から過疎地を中心に移動販売を開始し、こちらも徐々に台数を増やし続け、39都道府県で112台を展開している。

 

 震災以降見直されたコンビニの価値

 

セブンイレブンやローソンの例を見るとわかるように、コンビニの移動販売開始は震災がきっかけとなっている。震災前も買い物難民はたくさんいたのに、なぜコンビニ各社は震災以降に事業を開始したのだろうか。その理由は、震災の時にコンビニの社会的インフラとしての価値が改めて発見されたからである。コンビニに行けば生活に必要なものは何でも揃う、コンビニがあれば生きていける、生活インフラが脅かされて初めて人々はコンビニの重要な価値に気づいたのである。

 

 コンビニの移動販売の強みとは

 

コンビニは名前の通り利便性において最も価値を発揮する存在である。小売店という観点から見るならば、コンビニには専門性がない。「なんでも揃う」と品揃えで勝負をしていた百貨店や総合スーパーが、カテゴリーキラーと呼ばれる専門店に顧客を奪われ衰退しているのに対して、コンビニは逆に商品アイテムを増やす「何でも揃う」戦略が価値を発揮しているのだ。コンビニには各ジャンルで最も売れる商品が棚に置かれている。価格やバリエーション(種類)は二の次だ。コンビニの移動販売の強みの一つはこの「何でも」「いいもの」が「揃う」という利便性にあると考えることができる。

移動販売は定期的に決まった曜日・時間に決まった地域を訪問するため、顧客からすれば、移動販売車に自分の必要とする商品が確実にあることが必要である。従って、ドライバーが顧客から次回訪問時の注文を受けることになるのは自然の流れである。この注文にスポットを当てて移動販売によるサービスの範囲を広げたのが、御用聞きサービスだ。移動販売のドライバーは、顧客と密接な関係が築ければ、どんな注文を取ってくることも可能になる。コンビニで対応できない商品・サービスは他の業者と組めばいいだけの話だ。従って、ドライバーの力量が勝敗を決めることになるため、店長が自らドライバーとして出向くケースも多い。

 

 移動販売を後押しする最新技術

 

移動販売と言えば、昔からある移動販売と同じようなイメージがあるかもしれないが、移動販売の技術は大きく進歩している。過去との大きな違いの一つがIT技術の導入である。IT技術の導入はよりタイムリーな拠点や移動販売車間の情報のやりとりを可能にし、移動販売の機動性を大きく高めている。もう一つは、冷蔵庫などの設備の技術進歩である。商品に適した複数の温度帯の冷蔵庫の導入により、扱える商品アイテム数の増加を可能にした。このような技術進歩は移動販売の持つ可能性を大きく広げ、移動販売の促進を強く後押しすると考えられる。

 

 移動販売のもつビジネス性と社会性

 

御用聞きのサービスは、いわば過疎地の独り暮らしのお年寄りのコミュニケーションのハブになることだとも言える。従って、商品やサービスなどの供給といったビジネス面以外での価値と役割も同時に果たすことができる存在である。その役割の一つが「見守り」である。「見守り」は直接ビジネスに結び付くわけではないが、間接的には介護事業所に介護食や生活用品の供給というビジネスにつながる可能性を秘めている。コンビニ各社は都市部でも、自治体と協定を結んで認知症の徘徊高齢者の見守り活動に取り組んでいる。

経営を成り立たせるのが難しいと言われる買い物弱者のための移動販売に参入したコンビニ各社。「ビジネス性」と「社会性」という相反する要求を満たすそのビジネスモデルは大きく儲かるビジネスモデルではないが、ビジネスとして成り立つという希望を与えてくれる存在である。

 

 

 

NPO 真・食の安全・安心支援機構所属

中小企業診断士 井上敬裕

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

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情報番号

 

 

 移動スーパー

02020777

 

 

 地域特性に応じた買物難民の救済にもビジネスチャンスがある

20100613

 

 

 コンビニエンスストア

02010104

 

 

 業績格差が広がるコンビニエンスストア

20130614

 

 

 コンビニの経営を支える様々な戦術

20170800