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No.225 JRSメール配信サービス(2019.01.28)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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訪日外国人観光客は、政府の方針もあり増加を続けています。2018年の訪日外国人客数は3,000万人を超え、過去最高を記録しました。

急増する外国人観光客に対して、日本の観光インフラの整備が追い付いていないといった声も聞かれます。ただ、受け入れる側の観光産業も手をこまねいている訳ではなく、様々な取組を行っているようです。

そこで今月から3回にわたり「変わる日本の観光インフラ」をテーマとしたメルマガをお送りしたいと思います。第1回目は「民泊とその現状」について、NPO真・食の安全・安心支援機構所属の中小企業診断士 村田茂雄氏に、解説していただきます。

 

 

 

 

 変わる日本の観光インフラ/民泊とその現状

 

 

 

近年、訪日外国人宿泊者数の増加に伴い「ホテル不足」が問題となっている。平成29年の全国の宿泊施設の稼働率をみると全体では60.5%となった。宿泊施設タイプ別にみると、特にリゾートホテルとビジネスホテルでは、それぞれ57.5%75.3%と平成22年の調査対象拡充以来、過去最高の稼働率を記録している。ホテルの稼働率が高くなると、宿泊料金の高騰や宿泊予約の競争が激化し、日本人宿泊客にも影響を及ぼすことが懸念されている。そんな中、急増する訪日外国人旅行者の宿泊施設の受け皿として、いくつかの取り組みが進められており、その代表例が民泊であるといえる。

 

 民泊の現状

我が国においても近年インターネットを通じて、空き部屋を短期で貸したい人と旅行者をマッチングするビジネスが展開されており、オンラインで仲介するサービスを提供する企業が現れている。代表的なのはアメリカ初の民泊仲介サイトで世界最大手のAirbnb(エアー・ビー・アンド・ビー)であり、同企業には国内で約62,000件(平成305月現在)の物件が登録されている。

現状「民泊」の明確な定義はないが定義をするなら「旅館業法の規制下にあるホテルや旅館ではなく、個人や法人が保有する民家やマンションの部屋などに有償で宿泊すること」といえる。しかし、旅行者に対して個人や法人が有償で反復継続して部屋を貸し出す場合、その貸主は旅館業法の適用対象に該当するという法的な懸案事項が生じていた。この問題に対応するため平成306月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行された。その結果、民泊を行うには、旅館業法(簡易宿所)の認可を得る、国家戦略特区法(特区民泊)の認定を得る、住宅宿泊事業法の届出を行うの大きく3つに整理された。

急増する訪日外国人観光客のニーズの充足や大都市部での宿泊施設の逼迫状況の対応は観光立国を目指す我が国が注力すべき課題であり、その推進には「民泊」を上手に活用することが不可欠であると考えられる。また、地域の人口減少や都市の空洞化により増加している空き家の有効活用といった問題にも効果が期待できる。

現在「民泊」のあり方について様々な角度から活用の検討が進められており、日本の観光への取り組みの転換点になる可能性を含んでいる。

 

 古民家ビジネス

訪日外国人が増加の一途をたどる中、リピータ比率は上昇している。彼らは「より日本らしい体験」を望む傾向にあり、伝統的な日本的家屋、いわゆる「古民家」はそのニーズに応えるポテンシャルを充分に秘めている。

この古民家や古い街並みを観光資源化し、インバウンド誘致を推進するのが「せとうちDMO」(Destination Management/Marketing Organization)である。平成284月に発足した同組織は、瀬戸内ブランドを確立し、瀬戸内海沿岸エリアの地域経済活性化などを目的としてホームアウェイ※と連携し、広域インバウンド誘致を目指す取り組みを続けている。

 

※ホームアウェイは「バケーションレンタルサイト」の大手。現在、世界およそ190カ国に登録物件を持ち、月間4,000万人以上のサイト訪問者がおり、ファミリー層や富裕層の集客に強みがある。バケーションレンタルとは、長期休暇の取得が一般的な欧米諸国では、バケーション中に、オーナーが家や部屋を使用しない間、その物件を第三者に貸し出すサービスのことをいう。

 

同組織は、ホームアウェイとの連携を海外向け情報発信のプラットフォームとし、古民家宿を1棟貸しするプランなどを提供、1泊当たり2万円以上の比較的高単価な客層をターゲットとした展開をしている。

空き家問題は全国的な問題であるが、瀬戸内においても、特に歴史的価値のある古い建物が次々と壊されているという状況がある。これを何とか食い止めたいという思いと、インバウンドが増加しているマーケティング上の機会を結び付け、2021年までの5年間で100棟の歴史的建造物を宿・レストラン・カフェなどの商業施設として再生・観光資源化することで、旅行者を誘致し、地域における旅行消費を活性化させることを目標にしている。そしてこの取り組みの一つとして愛媛県の内子町に「町家別荘こころ」と「ホテルこころ・くら」を完成させ、平成294月から旅館業法の「簡易宿所」として運営を開始した。

この取り組みは今後「民泊」を活性化していく上で参考になる事例である。それは日本全国にはこのような訪日外国人が「日本らしさ」を体感できる古民家がまだまだ存在すると考えられるからである。

民泊ビジネスは発展途上にあるがその方向性に、「良き日本の伝統を守りながらも地域経済に貢献していく」というコンセプトをしっかり織り込むことで現代社会のニーズをとらえていけば、飛躍的な発展も不可能ではないのではないか。

次号からは、多言語化への様々な取組やロボットの活用について見ていきたい。

 

 

 

NPO 真・食の安全・安心支援機構所属

中小企業診断士 村田茂雄

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 外国人向け民泊

20180521

 

 

 外国人向け古民家活用

20180522

 

 

 変わる日本の観光インフラ1/様々な宿泊施設への取組み

20170802

 

 

 シェアリングエコノミーの現状と今後の活用

20170791