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No.227 JRSメール配信サービス(2019.03.25)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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「変わる日本の観光インフラ」シリーズとして、過去2回、「民泊とその現状」、「多言語対応力の向上」というテーマで連載してきましたが、今回はシリーズ3回目、最終回として「ロボットの活用」を紹介します。

最近、急増する訪日外国人観光客の受入れ環境を整備するため、ロボットやAIなど日本のIT最先端技術を活用する試みが始まっています。主にインバウンド市場で活躍するロボットについて、「変わる日本の観光インフラ/ロボット活用の現状」と題して、NPO真・食の安全・安心支援機構所属の中小企業診断士 村田茂雄氏に、解説していただきます。

 

 

 

 

 変わる日本の観光インフラ/ロボット活用の現状

 

 

 

1.観光ビジネスにおけるロボット活用の現状

我が国におけるIT利用は、幅広い年齢層に普及が進み、生活の中に深く浸透している。そして生活のあらゆる場面、行動の中でITを利用する機会が増え、時間帯や場所を問わず利用されており、私たちの暮らしに不可欠なものとなっている。このような背景の中、訪日外国人観光客の受け入れ環境を整備するためにロボットやAIなど日本のIT最先端技術を活用する試みが始まっている。

今回はインバウンド市場で活躍するロボットに関する事例を紹介したい。

 

2.インバウンド市場におけるロボット活用の事例

(1)「ロボホン」の事例

京浜急行電鉄、シャープ、ビジョン、フューブライト・コミュニケーションズの4社は、日本初の多言語観光ガイドを行うコミュニケーションロボットレンタルサービスを、羽田空港において訪日外国人観光客向け中心に開始した。

 

このサービスは、日本語に加え、新たに英語・中国語に対応したコミュニケーションロボット「ロボホン」を貸出しカウンターでレンタルし、「ロボホン」と一緒に旅を楽しむことで、訪日外国人観光客に日本文化と触れ合った想い出を作ってもらおうという新しい形の体験型観光の実現を目的としている。

位置情報に合わせておすすめのスポットを「ロボホン」が紹介してくれるアプリの他、写真撮影、プロジェクターでの写真・動画表示、ダンスや歌なども、3つの言語で提供できる。レンタルだけでなく、お土産として「ロボホン」のプラモデルや、オリジナルロボホンウェアや、卓上ホルダなど、グッズを販売する等関連ビジネスにも余念がない。

 

(2)HOSPI」の事例

パナソニックは平成291月、空港、ホテルでロボット「HOSPI」を使ったサービスの実証実験を実施することを発表した。「HOSPI」は医療現場の業務効率化を目的に開発された、薬剤や検体を安全に運ぶロボットであるが、病院だけでなく他の場所でも活用出来ないか検討を重ねた結果、インバウンド市場での実証実験に取り組むこととなった。飲み物をサービスしたり食器を回収したりする実証実験だけでなく、多言語化にも対応していて、日本語、中国語、英語で情報を案内することも可能になっており、本来は病院向けに開発した製品であるものの観光関連の分野での活用を目指している。

 

(3)「変なホテル」の事例

千葉・舞浜にオープンした「変なホテル」もITを活用した注目スポットの一つである。ハウステンボスに続く第2号館で、9種類、約140体のロボットが活躍している。「ロボットが運営を行う」という変わったコンセプトをもとに、最先端技術を活用したサービスを提供しているホテルであり、レセプションもロボットが担当し、日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語の多言語化に対応している。全客室にはコミュニケーションを得意とする小型ロボットが設置されていて見守り機能を備えている。また、ロビー付近ではゴミ箱型のロボットが歩き回っているように、視覚的に楽しめる仕掛けが張り巡らされていることで、訪日外国人の好評を得ている。

そしてこれらロボット導入は、効率性の向上と人件費の低減化を実現し、リーズナブルな宿泊料金での提供を可能にしている。

 

3.観光ビジネスにおけるロボット活用のポイント

人材確保が困難であることや訪日外国人の増加といった背景を考慮するなら観光ビジネスにロボットの技術を導入することは、その生産性向上や高付加価値化の観点からも極めて合理的な発想であるように思われる。しかしながら観光ビジネスでのロボット活用は、前記の羽田空港の事例等まだ試行段階である感は否めない。

一方でサービス業界において他の使途で活用されているロボットについては実証実験が進む等実用化に向けた作業が進行しているが、反面盗難や破壊リスクへの対応が浮上する等問題点も表面化している。また導入コストも安価とはいえない現状では、実用化の動向を注視しながら導入の費用対効果を慎重に検証することが肝要ではないだろうか。

 

<参考文献>

1.京浜急行電鉄 ホームページ ニュースリリース

2.HAKUHODO i-Studio

3.訪日ラボ インバウンド市場で活躍するロボット

新たに舞浜にオープンした「変なホテル」

 

 

 

NPO 真・食の安全・安心支援機構所属

中小企業診断士 村田茂雄

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 変わる日本の観光インフラ2/多言語対応力の向上

20170803

 

 

 外国人観光客集客にICT(情報通信技術)を活用しよう

20180616

 

 

 将来に亘り重要度が増すインバウンドビジネス

20180615

 

 

 増加する外国人観光客の実態と観光地・ホテル業界

20150908