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No.228 JRSメール配信サービス(2019.04.23)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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4月1日より、「働き方改革法案」が施行され、中小企業においても一部が実施されることとなりました。また、慢性的に続く人手不足の中、中小企業においては「新規雇用」も難しい状況が続いています。

そこで今回は、新規従業員の採用について、特に新卒学生に焦点を絞り、「新規学生採用シリーズ」というテーマで、3回にわたり連載します。

本4月号は、「学生インターンシップ活用による採用力アップ」と題して、青森中央学院大学塩谷未知教授に、解説していただきます。塩谷先生の長年の教育経験から得られた、示唆に富む考え方が散りばめられています。

 

 

 

 

 学生インターンシップ活用による採用力アップ

 

 

 

 はじめに

 

大講義室での授業では、世の中が求める人材が育成できないと言われ続けて久しい。

その解決策の一つとして、学生が企業と接点を持つインターンシップに関心が高まっている。一方、人材採用が難しく、中小企業から悲鳴が聞こえてくる。その解決手段として、学生インターンシップの積極的活用が提唱されている。

一つはインターンシップに来た学生に、卒業後就職先として選んでもらうという短期的な狙い(残念ながら、この目論見は成功しないことが多い)。もう一つは中長期的に社内の人材や会社の魅力を強め、さらにそれを若い人に伝える力をアップすることを目的にインターンシップを行うのである。

 

 企業と学生の思惑

 

経済の停滞に加え社会保険や税の負担が増えたので、家庭の実質収入は減少傾向、教育費の負担はますます大きくなっている。そのため、生活費のため常時アルバイトに従事することが多くの学生にとって、普通のこととなっている。同時に業界によっては、人件費抑制のため学生アルバイト抜きでは経営が成り立たなくなっている。

 学生の多くはアルバイト先の勤務シフトに組み込まれ、常勤並みに働く体験だけでなく、その辛さを実感している。ただ、アルバイトの多くは、外食や流通サービスなど限られた業種や業務なので、残念ながら職業や世の中に関する学生の視野はあまり広がらない。

就職活動の際は、できるだけ広い視野で多くの業種や業務に挑戦し、実際の就職先で"こんなはずではなかった"というミスマッチを無くしたい。ミスマッチによる早期不本意退職をしたくない、という学生の立場からもインターンシップが推奨されている。

 一方、採用する企業側の立場で考えてみよう。多くの企業では人手不足感が強まり、採用活動に支障を来している。また、せっかく採用した新入社員の早期退職にも頭を抱えている。

 

 インターンシップいろいろ

 

それらのギャップを埋めるため、学生および企業双方でインターンシップに対する関心が高まっているわけだ。

実際、インターンシップの進め方や留意点についてのセミナーを開催すると、これまでインターンシップに関心を持っていなかった企業からの問い合わせや出席する企業が増えている。

 一言でインターンシップと言っても内容は、1日だけの見学、数日間程度の体験型、1カ月以上の問題解決・課題挑戦型まで多岐にわたっている。

 

その目的も、採用活動解禁前の前倒し囲い込みに近いものから、地域の人材育成への貢献、そして企業が抱える問題を学生という若く異分子の見方で解決の糸口を探りたい、などさまざまである。

 人材採用に悩んでいる中小企業の中には、インターンシップを活用し自分たちの採用力アップを考え、実践しているところがある。その場合、インターンシップ学生の中から応募者が出ることは頭の片隅に置く。やせ我慢しながら自分たちの会社の魅力を再発見し、それをきちんと伝えることで中長期的な採用力がアップされると考え、インターンシップを実施しているのである。

 

 採用力アップのプロセス

 

学生が企業を選ぶ場合、最初はわかりやすい給与・福利厚生などの処遇に目がいく。その後、果たして自分が成長できるか、そして、会社の持つ雰囲気や大切にしている理念とそれをビジュアル化したビジョンなどに関心が向かう。つまり、自分を仲間として受け入れてくれ、組織の中で難しい仕事に挑戦でき成長できるか、そして目指すビジョンを社員が共有しているかが鍵となる。

それを企業の立場で採用力として考えた場合、経験的に次のように分解されるだろう。

 

採用力=仲間力×育成力×業績×ビジョン×伝達力

 

採用力は企業の持つ総合力そのものである。先入観のないインターンシップ学生を受け入れ、学生たちに自分たちの会社を説明し、自分たちの強み・弱み・魅力を一緒に考える。何も知らない学生に説明し理解してもらうという面倒なことをやることで、自分たちの会社の業績やビジョンについて多面的に理解し、仲間力、育成力、伝達力をアップさせるのである。人の成長は人に説明することで加速される。

インターンシップ学生は企業に対し、先入観も無ければ知識も欠落している。そのような学生に仕事の中身や進め方をわかるように説明するには、自分がよくわかっていなければできない。相手の反応を見ながら業務の説明に工夫を加えることで、自分たちの会社や仕事の理解が深くなり、業務のスキルが広がり社内の部門間に繋がりができる。

複数の社員が工夫をしながら、インターンシップ学生に業務の説明をすることで、バラバラだった社員の間に連携という仲間力が生まれる。また、学生と一緒になって自分たちの強み・弱み・魅力を議論し整理する、それをビジョン実現と絡めて考察を加える、それら一連の活動を通じ知識や経験のない学生への伝達力が高まる。

 

 おわりに

 

できることを繰り返し行うアルバイトと異なり、できないことや想定外のことに挑戦できるインターンシップで成長した学生は、必ずその企業のファンになる。

そして、育てられたインターンシップ学生は、後日必ずその企業あるいは地域を育てることを行うはずである。

地域や先輩に育てられた人は、必ず地域や後輩を育てる、というのが私の長い経験と数多くの出会いの中で育まれた信念である。

これらの一連のプロセスで社員が育ち、インターンシップ学生も育つことになる。

 

 

 

青森中央学院大学 経営法学部教授

塩谷 未知

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 中小企業におけるインターンシップ制の活用

01040329

 

 

 インターンシップ規定

20140104

 

 

 長期的な経営状態やコストを考慮して採用計画を立案する

01040337

 

 

 5月の主要業務3/会社(求人)説明会の開催

01100113