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No.230 JRSメール配信サービス(2019.06.24)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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4月1日より、「働き方改革法案」が施行され、中小企業においても一部が実施されています。また、慢性的に続く人手不足の中、中小企業においては「新規雇用」も難しい状況が続いています。

今月号は、「新規学生採用シリーズ」というテーマの第3回目(最終回)、「先着順の新人採用もいい」と題して、引き続き青森中央学院大学塩谷未知教授に、解説していただきます。一見「先着順では、よい人材の採用チャンスを逃すのでは?」と疑問を持った読者も多いと思いますが、本テーマには、塩谷先生の長年の教育経験から得られた、示唆に富む考え方が散りばめられています。ぜひご一読ください。

 

 

 

 

 先着順の新人採用もいい

 

 

 

 はじめに

多くの企業では人材こそが生き残りの生命線と考え、人材採用に工夫を凝らしている。日本型の新卒採用だけでなく多様な人材の採用を狙った通年採用、地元出身者優遇のふるさと採用など、それぞれの企業が個性ある採用方法を試行錯誤し実践している。

 

 先着順の新人採用に驚く

世の中には先着順の新人採用を行っている企業が実在する。

最初にその採用方法を聞いた時、採用を決めた後によい人材が遅れてきたら、もったいないだけでなく、よい人材の採用チャンスを逃すのではと疑問を持ったのは事実である。その後、企業の人材採用の相談に乗り学生の就職活動を支援しながら、先着順の新人採用の魅力に気づいた次第である。

 実際、先着順の新人採用を真似てゼミ生の募集や、何かイベントをやる場合の参加者の募集を先着順にしてみた。他との比較や誰かに相談するかもしれないが、最終的には自分で決め速攻で応募する、そこに迷いはあまりない。その結果、ゼミやイベント活動は想定以上の活発さを実現できた。

 

 迷わず速攻で応募

まず、自らその企業に関心を持つ。すべての始まりは関心を持つことからである。そして、就職活動解禁や募集開始までに考え迷いながらも、自力でその会社の魅力を知り、募集開始とともに迷わず速攻で応募するのである。迷わず応募というところに、先着順新人採用の本質があるのではないか。

迷わず速攻応募ということで、他の内定先と比べたりすることもないので、入社後に"あの時、あの企業を選んでおけば"などと後悔することもなく、会社への定着率も高くなることが期待される。

「あの会社に落ちたからここに来た。あの会社に行っていれば今とは違った人生に」などという迷いや後悔の念は、思いのほか長く引きずる。困難にぶつかった時にはそのことを思い出し悔やむことが続く。人によって30年以上続くのではないか、というのが実感するところである(バブル経済崩壊後の就職氷河期の影響は残っており、今でも個人の心の中に"タラレバ"として潜み続けている)。

 

 比較されるって嫌だ

たまたま現在は売り手市場のため、偏差値社会で鍛えられた学生は就職偏差値などを目安に少しでも就職偏差値の高い企業を目指す。その結果、1人で数多くの内定先を得てしまう。中には大学入試の失敗の無念さを、内定先の数で埋め合わせしているような学生も存在するらしい。採用する企業にとっても学生にとっても効率悪く不幸でもある。

就職偏差値で選んだ就職先では、就職先の先輩仲間にうまく加われないかもしれない。入社した新人の言動や表情を見て、自分たちの会社が本命の就職先なのかそうでないのか、先輩たちや上司は敏感に感じ取る。これでは仕事はうまくいかず、仕事がうまくいかないから仲間に入ることもできず負のスパイラルに陥る。 

企業は人によって成り立っているが、人という存在は一般に比較されるのを好まないのではないか。兄弟間での比較、他人との比較、得てしてやってしまうのが若い人を自分の若い時と比較する。「俺が若い頃は休みなしに3カ月働き、あなたたちよりもっとできた」などとやってしまっては、若い人は引いてしまう。

もう一つやりがちなのが転職時である。以前いた会社と比較してしまうと、その会社の人は面白くないので仲間に入れず徐々に情報が集まらなくなる。以前の会社で得た経験や知識はあっという間に陳腐化してしまう(蛇足だが、大手企業の社員が取引先に行ってうまくいかないのは、このあたりに原因があることが多い)。

 

 おわりに

つまり、採用側にとっても他社と比較されるのはあまり気持ちよいものではない。規模の大小に関係なくどの会社も経営者もプライドを持っているので、学生の乏しい知識と経験の中で他社と比較され選ばれる、あるいは選ばれない、どちらにしても比較されるのは気持ちいいものではないだろう。

この気持ちの差が組織にうまく馴染められるかどうかの差になる。組織に馴染めなければ、その組織の中で情報断絶が起き、その組織中では成長できない。どんなに優秀な人でもその組織に馴染めないと早晩退職に至る。

一方、先着順採用で入社した人は、他社との比較をすることなく、自分の関心から始まり研究し愛着と期待を持って、迷わず速攻で応募したわけである。入社前に会社に対する思いと熱情があり、既に会社員として大事な仲間力が醸成されているに違いない。

お互いに"比べっこ"しない先着順の新人採用はいい。

 

 

 

青森中央学院大学 経営法学部教授

塩谷 未知

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

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