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No.231 JRSメール配信サービス(2019.07.29)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

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最近、「クラウドファンディング」を通じた新たな資金調達方法が注目を集めています。

 

アニメ映画として大ヒットした「この世界の片隅に」(201611月公開)が、その制作の資金の一部を、クラウドファンディングサイト「makuake」を通じて、一般から調達されたことが知られています。

「クラウドファンディング」という名称は、「群衆(crowd)」から「資金調達(funding)」

する仕組みを表した造語です。「クラウドコンピューティング」の「クラウド(cloud)=雲」とは異なるので、注意してください。

 

クラウドファンディングの仕組みは、「実施事業者は資金調達をしたい」「プラットフォーム業者(サイト運営事業者)は、実施事業者の資金調達が成功して手数料を得たい」、「資金提供者は、実施事業者からの商品・サービスあるいは配当金が欲しい」というように、利害関係者(3者)全員が、実施事業者のプロジェクト開発実現にインセンティブを持つことに、特徴があります。

 

今回は、「クラウドファンディングの概要とその活用」について、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士日置律子様に解説していただきます。

 

 

 

 

 クラウドファンディングの概要とその活用

 

 

 

 クラウドファンディングとは、特定の事業やプロジェクトで資金を必要とする個人や企業が、インターネット上でその事業などの理念、目的、内容などを公開し、それに賛同する不特定多数の投資家や支援者を募り、資金を調達する方法です。

 

その仕組みは、事業実施者(=資金調達希望者)、プラットフォーム業者(=サイト運営業者)、出資者(=資金提供者)の3者で構成され、事業実施者と出資者を結びつける役割(仲介)をプラットフォーム業者が担います。それぞれ対価としては、事業実施者は資金調達が出来、プラットフォーム業者は手数料が得られ、資金提供者(出資者)は配当金または商品(サービス)を得ることが出来ます。

 

クラウドファンディングには出資者に対するリターンの内容によって、「投資型」、「寄付型」、「購入型」の3つ分類されます。

 「投資型」は、金銭的リターンを得たいと考えている一般投資家から資金を調達する方法で、プラットフォーム業者には、金融商品取引法に基づく「第2種金融商品取引業者の登録」が必要となります。投資型には、さらに貸付型、ファンド型、株式型があります。

 貸付型(「ソーシャルレンディング」とも呼ぶ)は、投資した金額にプラスした金利がリターンとなっており、ファンド型は分配金という形で、投資した案件の収益の一部をリターンとして受け取ります。

株式型は、20155月に金融商品取引法の一部が改正されたことによって創設されました。2017年以降、インターネットを通じて、個人が少額でも非上場企業の株式を取得出来るようになりました。一般投資家にとってリスクは高いものの、その会社がIPOやバイアウト出来れば大きなリターンを得られます。株式型は他の方法に比べて調達できる資金額が大きく、おおよそ数千万円から1億円程度まで集めることが可能で、ベンチャー企業にとっても有効な資金調達のひとつとなっています。

 「寄付型」は、事業やプロジェクトの趣旨に賛同する不特定多数から、寄付により資金を調達する方法で、社会性の高い事業の資金調達などに用いられ、寄付という文字通り、出資者へのリターンはありません。

「購入型」は、事業実施者が、商品やサービスの開発費用の出資を募り、集まった金額で開発した商品やサービスを出資者にリターンする仕組みです。リターンの内容が実際に開発した商品やサービスである点が特徴で、活用事例としては、音楽・ゲーム・アニメ・映画等のコンテンツ制作などの事業においても利用されており、クラウドファンディングの中では、「貸付型」に次いで利用が多くなっています。

 

従来、上場していない中小企業の資金調達は、銀行などの金融機関からの借り入れが一般的で、間接金融に偏っていました。そして、ベンチャー・キャピタルなどから直接出資を得るにはハードルが高く、出資が得られても特定の大株主に経営権や主導権を渡すことになりかねないという危惧もありました。

そうした中、クラウドファンディングは、事業などの理念、目的、内容などに賛同する不特定多数の投資家や支援者から広く少しずつ資金を調達するという、中小企業にとっての新しい「直接金融」の形と言えます。また、資金調達だけでなく、新商品やサービスの宣伝、事業の採算性や将来性の見極めや市場調査、自社のファンづくりといった効果も見込めます。

 しかし、クラウドファンディングは必ずしも必要な資金額が集められるわけではありません。また、資金調達を行うための準備、審査、募集期間などを考慮に入れれば、金融機関からの借り入れに比べて調達までの期間が長くなりがちです。さらに、資金調達後も多くの資金の提供者や投資家に対して事業報告を行う必要があり、特に、投資型では財務報告も行う必要もあり、負担が重くなります。

 

 クラウドファンディングを成功させるためには、事業やプロジェクトに投資家や支援者が資金提供をしたくなるような有意性、将来性、社会的意義があることが必要です。また、事業やプロジェクトを確実に実行するために、財務面も含めた具体的な事業計画を示すことにより、プラットフォーム業者の審査に合格し、投資家や支援者も安心して資金提供を行うことが出来ます。そのためには、参加するプラットフォーム業者のページはもちろん、自社のHPも充実させておくことが求められます。特に、知名度が低い中小企業の場合、投資家や支援者が自社HPを見た時に、興味を引き信頼感を得ることが大切になります。また、経営者などによるSNSやブログへの参加、イベントなどでの宣伝、リアルな店舗でのポスター掲示なども積極的に取り組みたいものです。

 

クラウドファンディングにより不特定多数の人から資金を集めて事業やプロジェクトを行うということは、当然、社会的な責任が伴います。コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスを徹底し、投資家や支援者の期待に応えてこそ、クラウドファンディングにより企業の成長につながっていくと、期待されます。

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属

中小企業診断士 日置 律子

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

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情報番号

 

 

 中小企業におけるクラウドファンディングの活用

20180525

 

 

 クラウドファンディング

20130654

 

 

 ブランド戦略で成功した具体的な事例②

20140537

 

 

 日本におけるフィンテックと中小金融機関に与える影響

20160541

 

 

 SNSの最近の動向

20140523