JRSメールマガジン

JRSメールマガジン(無料サービス)

JRSメールマガジンは、非会員の方も含め、購読ご希望の方に旬の話題やJRS経営情報サービスには掲載されていない経営情報を月1回メールでご提供しております。
購読を希望されるお客様は、まずはご登録をお願いいたします。

No.252 JRS メール配信サービス(2021.04.26)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

新型コロナウイルス感染症の発生により、中国からの輸入がストップするなど企業経営に大きな影響が出た企業もあったと思います。いざ、想定外の緊急事態が起きた時、損害を最小限にとどめ、中核事業の継続や早期復旧をどうするのか、経営者にとって重要な問題です。そんな時のために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画がBCP(事業継続計画)です。東日本大震災を契機として、中小企業でもBCP(事業継続計画)を策定した企業もあったようですが、今回のコロナを受け、新たに策定したり、感染症への対応のため改定した企業もあるようです。中小企業庁は「中小企業BCP策定運用指針」を作成などし、中小企業のBCP導入を推進していますが、策定している中小企業はまだ多くないようです。

そこで今回から4回に渡って、BCP(事業継続計画)を特集します。第1回は、「BCP策定の考え方・手順と重要となるサプライチェーンの確保」というテーマで、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士 山辺俊夫氏に解説していただきます。

 

 

 

BCP策定の考え方・手順と重要となるサプライチェーンの確保

 

 

 

自然災害、大火災、パンデミック、テロ攻撃などの緊急事態において、企業は資産の損害を抑えるとともに、自社の中核の事業を継続し、早期に復旧させることが重要となる。

BCPBusiness Continuity Plan:事業継続計画)とは、緊急事態に対応するために、行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段を予め決定しておく計画のことである。

緊急時には、活用できる人、物などの経営資源が限定されることになる。BCPの策定により、優先して復旧すべき中核事業を絞り込んでおき、緊急時に予め作成していた計画を遂行できれば、事業の早期復旧が期待できる。このような危機対応能力の向上の他にも、BCPを策定し運用することで、取引先との関係強化や経営の効率化、企業ブランド価値の向上につながるメリットもある。

このようなメリットがあるにも関わらず、企業規模別のBCP策定状況としては、大企業に比べて中小企業のBCP策定が進んでこなかった。この背景には、とくに中小企業では、策定する人材が確保できないことによるスキル不足や、策定のための時間が確保できないことがある。

中小企業庁は、2006年に、中小企業への BCP 導入について「中小企業 BCP 策定運用指針」を公表した。しかし、中小企業における BCP の認識は高くなったとは言えず、その策定企業は一部に止まった。

そこで、2012年に、従来の「中小企業 BCP 策定運用指針」を見直し、「中小企業 BCP 策定運用指針(第 2 版)」にするとともに、小規模事業者を含めた初心者を対象に「入門コース」を新たに加えた。この「入門コース」では、他のBCPで「中核事業」と位置付けられている事業を「重要商品」とするなど、分かり易い内容に改訂されている。

この「入門コース」では、「BCPの策定」と「BCP の運用」の2段階に分けられている。各々の手順は、以下の通りとなる。

()BCPの策定

1)基本方針の立案

2)重要商品の検討

3)被害状況の確認

4)事前対策の実施

5)緊急時の体制の整備

()BCPの運用

1)BCP の定着

2)BCP の見直し

このうち、「事前対策の実施」において、とくに、製造業などでは、被害状況によっては、通常の調達先からの商品・部品の調達が難しくなることへの対策が重要となる。そのような場合には、他の調達先からの代替調達も考慮しなければならない。

東日本大震災を契機に、BCPを策定した企業の多くは、主に地震などの天災だけを想定しており、感染症を想定したBCP の策定状況は総じて少ないと考えられる。そのため、新型コロナ感染症の拡大により、他国の生産に過度に依存しているリスクが露呈した。中国内の都市封鎖や工場の閉鎖にともない、同国からの部品の供給が滞り、日本国内の自動車メーカーは生産停止を余儀なくされた。また、世界的な感染拡大を背景にして、多くの国が自国の感染拡大防止を優先し、医療品や医薬品の輸出を制限する措置が実施された。

サプライチェーン強靭化のための方策としては、

1)国内回帰によるサプライチェーンの構築

2)海外での生産拠点の分散によるサプライチェーンの構築

3)モジュール化の推進

などが考えられる。

このような方策の実現のための設備投資を対象とした国の補助金として、2020年度には、「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」「海外サプライチェーン多元化等支援事業」「生産性革命推進事業」「マスク生産設備導入補助事業」などが公募された。2021年度にも、国や自治体で同様の補助金が公募される可能性がある。

また、BCPの策定を支援するための専門家やコンサルタントの支援が発生した場合の指導経費や、必要な機材や設備に対する補助金を支給する自治体もある。中小企業には、このような制度を利用して、積極的なBCPの策定が期待される。

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属

中小企業診断士 山辺俊夫

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 BCP策定の考え方と具体的な手順と策定事例

20200684

 

 

 BCPとサプライチェーン強靭化に向けた様々な方策

20200688

 

 

 BCPで活用できるテレワークの導入

20200687

 

 

 情報セキュリティとBCP

20200742

 

 

 

 

 

 

JRSメール配信サービスは、企業の皆様に役立つ情報を、
月1回、無料でご提供するメールマガジンです。
購読を希望されるお客様は、まずはご登録をお願いいたします。