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前回まで4回に渡って「BCP(事業継続計画)」について取り上げてきました。 皆さんの中には、BCPの作成は、大変だと思われた方もいらっしゃると思います。 そこで今回は、BCPよりも比較的簡単に作成できる「事業継続力強化計画」について取り上げたいと思います。 中小企業庁が実施している「事業継続力強化計画認定制度」は、近年、頻発する自然災害やコロナのような感染症に対して、中小企業が防災・減災の事前対策に関する計画を作成し、それを経済産業大臣が認定する制度で、認定を受けると各種支援策が利用できるものです。 事業継続力強化計画の詳細について、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士 山辺俊夫氏に解説していただこうと思います。
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事業継続力強化計画とは |
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近年、大規模な自然災害が全国各地で頻発している。また、新型コロナウイルス感染症は終息のめどがたっていない。こうした自然災害の発災や感染症の蔓延などは、個々の事業者の経営だけでなく、我が国のサプライチェーン全体にも大きな影響を与える。
従来の取組として、BCP(事業継続計画)を策定する方法がある。しかし、一定のスキルやノウハウが必要だったり、人材や時間を要するので、BCPの策定のハードルは高い。そのため、BCPは、中小企業では十分に浸透していないのが実情である。
そこで、中小企業庁は、令和元年7月に施行された「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律」において、防災・減災に取り組む中小企業がその内容を「事業継続力強化計画」としてとりまとめ、国が認定する制度を創設した。
「事業継続力強化計画」では、「事業継続力強化の必要性の認識」「脅威と発生時の被害の認識」「必要な事前対策」「初動対応体制と行動プロセスの明確化」などの事前対策に取り組んでもらうことを主眼としている。さらに、令和2年10月からは、感染症対策に関する事業継続力強化計画の認定もスタートした。現在、公開されている手引きの例として、感染症リスクに対する対策が掲載されている。また、手引きの他に、業界団体が作成した感染症禍においても事業を継続するための「業種別ガイドライン」も策定の参考になるだろう。
一方、BCPが求める「重要業務と目標復旧時間の決定」「事業継続戦略」「業務復旧・再開対応体制と再開プロセスの明確化」などは、計画の記載内容から除外された。
計画が認定された企業のメリットとしては、「防災・減災設備の税制優遇」「補助金の優先採択」「信用保証枠の拡大」「日本政策金融公庫による低利融資を利用可能」などの支援策が用意されている。また、企業名が中小企業庁ホームページで公表されるとともに、経済産業省で公認している事業継続力強化計画の認定ロゴマークを使用できるので、企業ブランドの向上も期待できる。
事業継続力強化計画に係る認定申請書には、以下の計画の記載が必要となる。 (1) 名称等 (2) 事業継続力強化の目標:「自社の事業活動の概要」「事業継続力強化に取り組む目的」「事業活動に影響を与える自然災害等の想定」「自然災害等の発生が事業活動に与える影響」の記載 (3) 事業継続力強化の内容:「自然災害等が発生した場合における対応手順」「事業継続力強化に資する対策及び取組」「事業継続力強化設備等の種類」「事業継続力強化の実施に協力する者の名称等の情報」「平時の推進体制の整備、訓練及び教育の実施、その他の取組等」の記載 (4) 実施時期 (5) 事業継続力強化を実施するために必要な資金の額及びその調達方法 (6) その他:「関係法令の遵守(必須)」「その他事業継続力強化に資する取組(任意)」の記載
事業継続力強化計画に係る認定申請書は、主に以下の5つのステップで申請書を作成する。 STEP1 事業継続力強化の目的の検討 STEP2 災害リスクの確認・認識 STEP3 初動対応の検討 STEP4 人、物、カネ、情報への対応 STEP5 平時の推進体制
事業継続力強化計画の策定を完了した後は、管轄地域の経済産業局への郵送、または、GビズIDアカウントを利用した電子申請で申請書類を提出する。
BCPを未策定となっている中小企業・小規模企業には、自然災害や感染症のリスクに見舞われても事業を継続していくために、その第1歩として、「事業継続力強化計画」を策定し、その後、本格的なBCPの策定が期待される。
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イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属 中小企業診断士 山辺俊夫 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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JRS経営情報(PDFサンプル)
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情報番号 |
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◆ 事業継続力強化計画とは |
20200683 |
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◆ 感染症対策を含んだBCP・事業継続力強化計画の策定方法 |
20200682 |
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◆ BCPによる災害時に備えたSNSの活用方法 |
20200686 |
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◆ 日本政策金融公庫/社会環境対応施設整備資金 |
13060232 |
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