JRSメールマガジン

JRSメールマガジン(無料サービス)

JRSメールマガジンは、非会員の方も含め、購読ご希望の方に旬の話題やJRS経営情報サービスには掲載されていない経営情報を月1回メールでご提供しております。
購読を希望されるお客様は、まずはご登録をお願いいたします。

No.259 JRS メール配信サービス(2021.11.29)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

皆さんは職業紹介と聞いて、どのような業務を思い浮かべるでしょうか。職業安定法には、職業紹介を「求人及び求職の申込を受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。」と定義されています。

それ以外にも、企業が人員削減のため従業員を解雇する際、再就職を支援するビジネスとしてアウトプレースメント(再就職支援業)があります。人員削減の頻度が高いアメリカで80年代から取り入れられ、日本でもバブル崩壊後の90年代から利用されるようになってきました。人員削減をするのに高額の費用をかけられるのは主に大企業ですが、中小企業にとっては、その大企業で働いていた人材を確保する手段として使える可能性があります。

そこで今回のメルマガは、「アウトプレースメント(再就職支援業)を活用した人材確保策」と題して、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士 大塚竜夫氏に人材確保の可能性について解説していただきます。

 

 

 

アウトプレースメント(再就職支援業)を活用した人材確保策

 

 

 

1.アウトプレースメント(再就職支援業)とは

アウトプレースメント(再就職支援業)は、再就職を希望する従業者が所属する企業・団体と契約し、同社を退職する従業者・職員の再就職を支援するサービス事業者で「職業紹介業」に含まれる一つの業態である。出向や従業者の独立・起業を支援に含める場合が多い。近年は、企業体質強化、あるいは企業活性化の一つの手段として従業員の積極的なライフスタイル・セカンドキャリア支援としての早期退職や希望退職等人事制度と組み合わせ、退職する従業者の再就職支援としてアウトプレースメントを利用するケースが多く見られる。アウトプレースメントを利用する企業等に対する国の助成制度もあるが、それでも、現状アウトプレースメントを利用するのは資金的な余力のある大企業が中心であり、中小企業の利用は少ない。

しかし、アウトプレースメントを利用しない中小企業であっても、自社が求める求人情報が、再就職希望者の就業条件等に合致すれば、アウトプレースメント会社から紹介を受け採用することができる。アウトプレースメント会社から紹介をうける再就職希望者は、大企業等の管理職・専門職などの経験者が少なくない。このような紹介を受けた場合、次項で説明する一般の職業紹介業から紹介を受けた際に支払う報酬は不要である。企業の人材確保のための一つの手段としてアウトプレースメント会社を活用することをご紹介するのが、今回の主旨である。

 

2.人材紹介業との違い

一般的に人材紹介業として認知されている「一般登録型人材紹介業(有料職業紹介事業者)」は、求職者(個人)から履歴書・職歴書等の提供を受け、その希望条件に合致する求人企業等に紹介する。求職者は無料で紹介を受けられる(有料職業紹介事業者が求職者から紹介手数料を徴収することは職業安定法により禁止されている) が、求人会社側は紹介された求職者を採用した場合、採用者の年収の一定割合を成功報酬として人材紹介業者に支払う。成功報酬は業種・分野等で異なるが、採用者の年収の3割ぐらいが多い。成功報酬の算出には、採用後一定期間(数ヶ月?半年程度)が経過して在籍していることなどの条件が付けられる場合が多い。

それに対してアウトプレースメントは、再就職を希望する従業者・職員が所属する企業・団体等と契約し、再就職希望者に対して専門知識・経験を有するカウンセラーを担当者としてアサインし、本人の今後の人生設計や意向等を尊重した再就職支援を行う。アウトプレースメント会社は、再就職者を受け入れた企業からは報酬は取らない。これはいわゆる双方代理の状況(利益相反行為)の懸念からである。アウトプレースメント会社が企業・団体等と契約する条件は業種・業界等によって異なるが、再就職支援者1名あたり50万円~90万円を契約時あるいは再就職支援開始時に支払い、支援期間は通常は退職後半年あるいは1年間が多いが無期限とする場合もある。また、再就職後一定期間内で退職し別の会社への再就職を希望する場合の支援を含める場合や、契約時とは別に再就職決定時に報酬を支払う場合などもある。

企業等がアウトプレースメント会社に期待する役割として、転機における本人への心理的ケア以外に、本人の適正・指向性の確認、自律した就職活動を実現するための指導・助言、転職決定後のフォローアップ(入社の心構え、転職後の早期離職防止対策等)などがある。企業等がアウトプレースメントを利用することで、結果的に再就職者の納得度が高くなる、再就職後の条件(年収等)がよくなる、再就職後の定着率が高くなる等が期待できると言われている。

 

3.人材確保策としての活用方法等

企業の人材確保のための一つの手段としてアウトプレースメント会社の活用を検討する場合、各アウトプレースメント会社は求人担当者をおいて企業の求人情報等を独自に収集しているので、まずは各社の求人担当者と連絡をとるのがよい。一般の人材紹介会社への依頼とは異なり、まずは再就職希望者の希望する就業条件等があるので、自社の求人情報が合致していれば活用を検討するとよい。

アウトプレースメントの主要企業は、以下の5社である。上位の4社は労働者派遣事業、請負事業、人材紹介事業などを行う国内大手の総合人材サービス会社(またはそのグループ会社)であり、その中にアウトプレースメント事業を担う部門がある。株式会社エイチ・アール・シー・キャリアは、アウトプレースメント事業の専業会社である。詳細は各社ホームページ等により参照いただきたい。

各社のアウトプレースメントの事業規模は公表されていないため不明であるが、関連する調査統計等資料から、アウトプレースメント会社の再就職支援者は国内で年間約2万人から3万人、主要企業5社合計でアウトプレースメントの8割程度を占めると推計される。

 

<アウトプレースメントを提供する主要な事業者>

会社名(本社所在地)

・株式会社パソナ(東京都)

https://www.pasonacareer.com/biz/outplacement.html

・パーソルキャリアコンサルティング株式会社(東京都)

 https://www.persol-cc.co.jp/

・株式会社リクルートキャリアコンサルティング(東京都)

 http://www.recruit-cc.co.jp/

・マンパワーグループ株式会社(神奈川県)

 https://www.manpowergroup.jp/client/serve/re-employ-assistance/

・株式会社エイチ・アール・シー・キャリア(東京都)

 https://www.hrc-career.co.jp/

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属

中小企業診断士 大塚竜夫

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 アウトプレースメント(再就職支援業)を活用した人材確保策

20200693

 

 

 再就職支援業

02020832

 

 

 高齢者就業支援ビジネスの市場動向と成功のポイント

01011414

 

 

 アウトソーシングを活用する分野と会社に残す分野

11712616

 

 

 

 

 

 

JRSメール配信サービスは、企業の皆様に役立つ情報を、
月1回、無料でご提供するメールマガジンです。
購読を希望されるお客様は、まずはご登録をお願いいたします。