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No.260 JRSメール配信サービス(2021.12.23)

JRSメール配信サービス発行事務局

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

多くの企業経営者は、デジタル技術を活用すれば、業務の効率化が図れることを理解していると思います。いわゆるIT化は、多くの中小企業が取り組んできました。

しかし、ビジネス環境の変化が激しい現在にあって、企業が競争上の優位性を確立するには、単なるITの導入だけではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することが求められています。

ただ、それは分かっていても、実際にどのように実施したらよいか、分からないという方も多いかと思います。

そこで今回のメルマガは、「中小企業のDX推進を成功させるポイント」と題して、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士でITコーディネータでもある福田大真氏に解説していただきます。

 

 

 

中小企業のDX推進を成功させるポイント

 

 

 

経済産業省よりデジタルトランスフォーメーション(以下DXとする)のDXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(以下DXレポート1とする)が発表されてから早くも3年が経とうとしている。

そして202191日よりいよいよデジタル庁も新設された。日本のデジタルトランスフォーメーションは本格化していくことは間違いない。

ここで、あらためてDXとは何か、そしてDX推進のポイントを整理していきたい。

 

◆ 改めてデジタルトランスフォーメーション(DX)とは

経済産業省から20201228日に発表されたDXレポート2では、DXの定義が変更されているのにお気づきだろうか。

DXレポート1のときは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となっていた。

しかし、コロナ禍で表出した問題を考慮しレポート2では「企業が競争上の優位性を確立するには、常に変化する顧客・社会の課題をとらえ、「素早く」変革「し続ける」能力を身に付けること、その中ではITシステムのみならず企業文化、固定観念を変革する」と企業の目指すべき方向性として追記がされている。(出所:経済産業省ホームページ、DXレポート2(概要)P.8、以下レポート2とする)

 

https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

 

この変更点での特徴は「素早く」と「し続ける」という文言が入っていることである。他にもDXレポート2の中では「迅速に」や「恒常的な」という文言が入っていることがわかる。これは、コロナ禍といった不測の事態であっても、いかに常日頃からデジタルを意識し、素早く経営の変革を起こすことができる組織文化を持っているかが重要ということが如実にわかる記載である。

つまりDXとは、ただ単にデジタル化して業務変革を一過性で起こすことではなく、デジタルを用いて素早く企業文化を変革し続ける能力をもつことである。

 

 IT化=DXではなく、DXはビジネス変革のこと

DXでよく勘違いされがちなことは、横文字であるがゆえにDXIT化と考えている方が少なくないということである。

経済産業省のDXレポート2にも「レポート1によるメッセージは正しく伝わっておらず、「DX=古いシステム刷新」、あるいは、現時点で競争優位性が確保できていればこれ以上のDXは不要である、等の本質ではない解釈が是となっていた」とあり、勘違いさせてしまったことを反省している記載も見受けられる。

DXとは、例えば紙ではなくデータ化した伝票を使って業務をIT化し、組織横断的に組織全体の業務プロセスをデジタル化していくことである。

さらに、最近のDXのポイントは、部分的なIT化のことではなく、業務や組織さらには企業文化の変革があって、はじめてDXができていると言えるのである。

ここで勘違いしないことは、IT化はもとよりDXも変革のための手段であり目的ではないということである。

さらに加えると、自社だけがデジタル化して変革することがDXではない。自社に関わる顧客、取引先はもちろん、調達先もデジタル化によって変革の恩恵を受けることも重要なポイントである。

 

先日、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会より、DX好事例としてITコーディネータ協会会長賞/優秀賞を幸いにも受賞することができた。

事例としては、経済産業省のDXレポート2に書かれている通り、デジタルを用いて素早く変革する能力を持った企業が表彰されているような印象を受けた。

表彰されたどの企業も、自分たちの立ち位置に合わせたデジタル化を行っており、自社の身の丈を成熟度評価という指標を自社の人間だけではなく第三者機関を用いて客観的に把握しているところもポイントである。

 

 大企業と中小企業ではDX推進の違いがあることを認識しよう

日本の99.7%を占める中小企業は大企業と同じ様にDXが進められるだろうか?中小企業の中でも日本の85%を占める小企業に至っては人材も予算も限られているのは言うまでもない。

では、中小企業ではDXが進められないというわけではなく、中小企業ならではの進め方があることを理解すべきである。

経済産業省が提供しているDX推進指標のガイダンスにもDX推進指標を用いて進めるにあたり「必要に応じて、個別項目の意味や解釈を伝えるアドバイザーのサポートを受けることも有用」とあり、「中小企業は人材も限られるためITコーディネータ協会等の専門家集団を利用すべき」といったように第三者機関を使ってアドバイスを受けた方がよいという記載もある。(出所:経済産業省「DX推進指標」とそのガイダンス、P.13

ここで第三者機関とDX推進を相談する場合、IT化だけではなく自社の業務や組織の変革はもちろん、顧客や調達先へのメリットまで提案ができる協力者であるか見極めが重要になってくる。DX推進をするにあたっては、経営者が良き相談相手を見つけることが成功のポイントになるだろう。

 

 DX推進の問題点と成熟度レベルとは

DX推進を阻害する問題点を挙げるとすると、ひとつは自社の身の丈を知らずに他社と比較をしてしまうことである。例えば大企業が行ったDXの成功事例を見て真似をしようとする中小企業もあるだろう。しかし、資金力も人材も豊富な大企業のDX成功事例を見たところで、中小企業に当てはまるかどうかは検証が必要になり、また自信を無くすことにもなりかねない。

実際に、DXレポート2の中でも次の施策として「中小企業向けのDX推進指標」や成功事例を策定すると記載もある。これが成熟度レベルを評価するための指標である。(DXレポート2P.32

かといって、中小企業向けのDX推進指標ができあがるのを待つ必要もない。

デジタルとかITといった文言がどうも苦手だなと思いながらも、興味や関心を持って「デジタル化をしてみよう!」という、まったく未着手の状態(成熟度レベル0という)から一部で散発的な実施(成熟度レベル1という)に上げることでも、充分DXを推進していると言えるのである。

つまり、身の丈にあったDX推進が、成功の鍵を握っているということである。

DXレポート2でも、まずは「小さな成功事例から始めよう」との記載がある。中小企業は、ぜひ身の丈に合わせて小さなDXから始めてみるのはいかがだろうか。

なお、DX推進の問題点のひとつに経営者の壁もあるだろう。経営者がDXを理解・認知しないことで進まないという問題だ。これはIT化においてや、何かを進めるにあたって共通する問題でもあり、別な機会に解決案を紹介したいと思う。

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属

法政大学経営大学院 特任講師

中小企業診断士/行政書士/ITコーディネータ

福田大真 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 ゼロからわかるDX (デジタルトランスフォーメーション)とは?

20210367

 

 

 DXIT化ではなくビジネス変革のこと

20210368

 

 

 大手企業と中小企業のDX推進の違い

20210369

 

 

 DX推進の問題点と成熟度評価とは

20210370