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No.261 JRS メール配信サービス(2022.01.24)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

新型コロナウイルス感染症が日本で発生し、3年目に入りました。感染者の増減による行動制限の実施・緩和、コロナに対応するための生活様式の変化などにより、事業を取り巻く環境は急激に大きく変化しています。

そのような中で、経営者や管理者の皆さんは、会社をどのように運営されているでしょうか。環境変化が激しい時こそ経営計画の必要性は高まりますが、今回のような急激な環境変化では、計画通りにいかないこともあるでしょう。経営計画をどのように立て、会社を運営していくのか、大変悩ましい問題かと思われます。

 

そこで今回のメルマガは、「環境激変下、経営計画には柔軟性と不動が大切」と題して、青森中央学院大学教授でコンサル経験も豊富な塩谷未知氏にコロナ禍の経営計画はどのようにしたらいいのか解説していただきます。

 

 

 

環境激変下、経営計画には柔軟性と不動が大切

 

 

 

新型コロナウイルス感染第5波が奇跡的に収まり、少しだけ平穏な年末年始を楽しんでいたが、2022年の年明けともに手痛いお年玉。パンデミック第6波の顕在化である。パンデミック、多くの識者は最大のリスクとして警鐘を鳴らしていたが、「いつ?」というのは予測できないしリスクの共有もできていなかった。

誰も経験していない新型コロナウイルス感染により、これまでに起きていた変化は驚くほど加速し顕在化している。ダメなモノやコトはよりダメになり、良いことはより良くなっている。身近なところでは後継者のいない数多くの老舗飲食店がお店を畳んでいる。

パンデミック自体は今年から来年にかけて出口は見えてくるだろう。しかし、社会や経済、人々の心理の大きな傷の回復には相当長い時間、たぶん10年はかかるだろう。

パンデミックを経験している今、環境激変下の経営計画には何が大切なのか、一緒に考えてみたい。

 

■ ここ10年間の環境激変で学んだこと

2008年の金融危機、そして2011年の東日本大震災と原発事故、現在のパンデミック、ここ10年ほどの間に何度も想定を超える環境激変を経験している。金融危機では手許のキャッシュの重要性を認識し、内部留保を厚めにする企業が多くなった。東日本大震災では自然災害と原発事故によりエネルギーや地球環境に対し考え方の根底から変換、技術や安全をはじめ多くの神話の崩壊が一気に進んだ。

多くの未曽有の環境激変を通じ、何が大切か、信頼できるのは誰かと自問した・しているビジネス人は多い。その結果、自分、自分の会社と仲間たちとの揺るぎなき価値観の共有と信頼関係の大切さに気づいているのではないか。

今回のパンデミックで学んでいることを振り返ろう。相手は見えないウイルス、しかも変幻自在に変異し、感染拡大や抑制については専門家たちもお手上げ状態。その状態が2年続いているが、ビジネス人として試行錯誤しながら多くのことを感じ学んでいる。

まずは目標設定、次いで目標実現のための課題を選定。さらに工程表を作成し実行するという、長年慣れ親しんだ経営計画のやり方ではこの難局を乗り切れないと認識している。

現実から逃げずに対峙し、小さなチャンスに果敢に挑戦する、その結果、少し先が見えて来る、それを手掛かりにさらに先に進む、何度も繰り返す。これが現実的な解の一つだろう。その結果、ゴール(目標)が見えなくても最後までやり切り成果を出せる、所謂"あいまい耐性"が身につくわけだ。この"あいまい耐性"は先行き不透明な現状と未来において、企業やビジネス人にとって最も有力な強みとなるとは言い過ぎだろうか。

 

■ 経営の方向感、大切にすること

ここ10年ほど想定を超える危機が何度も起きている。その中で、自分の会社、周囲の会社、地域や国のリーダーたちの振る舞いを鏡にビジネス人は自分たちの"活動の場"である会社は自分で守るしかないことを痛切に学んだ。同時に企業戦略や経営計画の作成と実行について、"不動"の拠り所を軸足に"柔軟性"を盛り込むことの重要性を認識した。

刻々と変化する状況を直視し、少し見えているチャンスに果敢に挑戦し、その繰り返しによって生き残る。そのためには判断と行動の軸足となる揺るぎない会社の存在意義(パーパス)、果たすべき使命(ミッション)、それらを見える形にした目指す姿(ビジョン)、そして日々の行動の臨機応変な判断の拠り所となる行動指針(バリュー)がステークホルダー(利害関係者)と共有・共感されていることがいかに重要であるか思い知らされた。これらを軸足に環境変化にいたずらに振り回されず、柔軟な意思決定と行動の重要性を実感し、改めて見直し再定義すべきと考えているのが、誠実な経営者であり管理者である。

 

■ WHの中でより重要になったこと

経営計画を含めどのような計画にも不可欠なのは、目標とそれを達成する5WHである。つまり、 When(いつ?-時期や期間)Where(どこで?-地域)Who(誰が?-推進者、お客さん)What(何を?-課題や事業)Why(なぜ?-背景と目的)How(どうやって?-方法)How much(いくらで?-ヒト・モノ・カネなどの経営資源の投資と回収)である。

パンデミック前ではどのようにいつまで実行するかという、WhenHowに重きを置かれていた。パンデミックを経験することで、以前にも増して次のことが大切になった。WhyWhat、「何故それをするのか?」という根源的な問いかけを経営計画に盛り込み、実行の際に常に問い続けることが環境激変に柔軟に対応するには欠かせない、ということである。

成長時代とは異なり、多いか・少ないかという程度の環境変化ではなく、いわば有るか・無いかと変化することが目立ってきた。業界によっては売り上げが減ったというレベルではなく、ほぼ蒸発したというところもある。

最悪の事態、お客さんの有無までを念頭に目標を設定する。目標はいつまでどのくらいを数値で表す定量目標と、あいまいな表現の定性目標がある。数値目標は実績との乖離が大きくなると、多くの場合経営計画そのものを放棄することにつながり無計画状態となる。

そうなると経営計画を立てた意味や労力が無駄になるだけでなく、経営計画そのものの信頼感が失われるので定性的な目標の設定も盛り込みたい。例えば、自社のパーパスをわかり易く謳った「〇〇で困ったら一番先に相談される」、「業界での存在感アップ」というような目標の設定は環境激変化対応に逞しさ・しぶとさを発揮する。

 

■ おわりに

PDCAに代表される基本動作の徹底、自分たちのパーパス(存在意義)などを軸足に見えているビジネスチャンスに柔軟に挑戦する。結果、より広く・深い世界を垣間見ることができ新たなビジネスチャンスに出合うだろう。仲間を信頼し挑戦を続け今回のパンデミックを乗り切ることで、ゴールが見えなくても"もがきやり抜く"経験により組織的に"あいまい耐性"という、先行き不透明な時代に役立つ貴重な力を身につける。それは21世紀を生き抜く組織にとって貴重な経営資源となる。

WHのなかでも「なぜそれをやるのか?」という問いかけ、企業のパーパスと連動する定性的な目標は、「環境激変下の柔軟性と不動の経営計画」には思いのほか役立つだろう。

 

 

 

青森中央学院大学教授

塩谷未知 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 経営計画は何故必要か

20061966

 

 

 自社の存在価値を高め一層信頼される会社を目指そう

20100405

 

 

 経営計画は生き残るための工程表、経営計画に基づき行動しよう

20100407

 

 

 経営計画の作成方法

01010425

 

 

 

 

 

 

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