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No.264 JRS メール配信サービス(2022.04.25)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

以前内閣官房に設置された「人生100年時代構想会議」の報告書によると、ある海外の研究では「日本では、2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きる」と推計されているそうです。日本は、人生100年時代の超長寿社会を迎えています。

長寿社会に対応するため、年金制度は変更され、定年も延長されるなど長く働くことが推奨されています。そのような状況にあって、より充実した人生を送るためにはどのようにキャリアづくりを行っていけばよいのでしょうか。

そこで今回のメルマガは「人生100年時代、ゴールデン60代のためのキャリアづくり」と題して、長寿社会におけるキャリアづくりについて、元青森中央学院大学教授でコンサル経験も豊富な塩谷未知氏に解説していただきます。

 

 

 

人生100年時代、ゴールデン60代のためのキャリアづくり

 

 

 

人生100年時代、確かに身近な知人の欠礼の挨拶状に接すると、100歳近くで亡くなった人は多い。しかし、平均健康寿命は意外に短く70歳代前半であることに注意が必要である。

年金受給開始年齢はどんどん遠ざかり、国や社会は70歳まで働くことを推奨しているが、成り行きで取り敢えず働けばいい、というわけにもいかないだろう。働くなら楽しい充実した黄金の(ゴールデン)60代を過ごしたいものだ。

 

 70歳までのキャリアづくりの基礎

金融機関の店頭に行くとライフステージ別のイベントとそれを実現するための、必要資金とその調達についての資料があることが多い。それが通用したのは昭和の時代までで、年齢に縛られ年齢が意思決定者であるという生き方は、現在では推奨されないし崩壊している。

人生における大きなイベントの一つである結婚、遅くなるだけでなく生涯未婚もごく普通のことで、住宅取得に関する意識や行動も変化している。終身雇用制も崩壊し、いくつかの仕事や会社を経験するのは当たり前になりさらに加速されている。会社に依存したキャリアづくりではなく、個人が自立的にキャリアづくりを行うことが要請されている。

そのために必要なのは何か。頭・体・心の健康を保ち活力を維持することからすべては始まる。より具体的に言えば、「頭」はよい悪いではなく日々の学習習慣をどう身につけるか。世の中の変化で何か知識やスキルが必要になったら、それを学習する習慣である。次の「体」、筋肉逞しい力持ちである必要はなく、日々のよい食・休・運動習慣の確立、最後の「心」はめげないタフさ、自分の中に多様な価値観を持ち挫折から立ち直る力(レジリエンス)である。

これらを30歳代までに習慣として身につけながら、いろいろなことや人と接点(ネットワーク)を持ち続けることだ。さらに自分で判断し行動することを積み重ねれば鬼に金棒である。かつての高度成長時代ならいざ知らず、上司や会社の人事評価に従順に従っても生き残る力は身につかない。「そんなことをしたら人事に睨まれる」などという減点主義の人事評価に従っていては、世の中に変化が起きたときに対応できない。

いつも思い出すのは2000年代初めの頃の大企業のリストラである。退職金は平均数千万円と報道されていたが、リストラされた社員の声「数千万の退職金より生きる力を身につけたかった」を時折思い出す。

 

 コマ切れ定年延長に振り回されない

50歳代半ばでの役職定年に始まり、60歳で定年そして再雇用、そして70歳までのなんらかの形態での雇用が推奨されている。なんとなく定年延長がコマ切れで進む。雇用形態は今のところ試行段階であるとは言い過ぎだろうか。目の前のニンジンが遠ざかったり、大きくなったり小さくなったり何とも落ち着かない。

50歳代からの20年間、これまで自分が過ごした20年間を思い起こせば多くのことが劇的に変わっていることに気づくだろう。例えば20世紀の終わりの頃までは会社の業績がよいのに人員削減のリストラをしようものなら、社内外から批判を浴びたものだが、現在は歓迎とは言わないまでも日常的になっている。

50歳代に入ると70歳までの20年間を見据えた働き方の方向感を、自分の判断で決めてそのシナリオ(絵姿)をベースに働くのが賢明だろう。もちろん、そこには副業や趣味、家庭のことや社会活動のことが含まれる。

「変われる人は変われる」というのが、多くのビジネス人とお会いしての実感。「変われる人」、言い換えれば世の中の変化に適応して「成長できる人」は「成長できる」のである。

 

 40歳前後に自分史づくり

定年退職後に自分史を作成することが流行ったことがある。自分史や社史づくりに関わりながら強く思ったことは、定年後に自分史をつくることの虚しさだ。誰にも関心を持たれず読まれない、本人もつくるのに精いっぱい。できあがると達成感で満足し、自分でも読み返さないのではないか。

それならビジネス人生の20年程度過ぎた、折り返し時点の40歳前後に自分史を作成する。どのような仕事を経験したか、自分や家庭でのイベント、そして社会や地域との関わりの3つの視点で棚卸しをする。整理しながらどのような節目があるか、そのときの背景や過程を振り返る。「できそうもないことができるようになった」、そのスキルと過程を振り返る。

このように自分史をつくりながら自分の過去・現在を振り返り、未来の方向感や大切にしていきたいことを考え、今後30年間のキャリアを想像するのである。そのとき思いついたことや方向性、スキル、やりたいことなどをピックアップし"絵姿"(シナリオ)で表す。

学生時代の就職活動時に、自分の強みや志望動機を明らかにするために自分を振り返り整理する。それから20年を経て勉学時代を含めて本格的な大人としての自分史をつくり、その後の30年のキャリアを想像するのである。

 

 おわりに

会社の人事評価に振り回されず、時には主流から外れることはキャリアづくりには役立つことが多い。主流から外れるとそこは経営資源不足なので、事業全体を自分でマネジメントし実際の業務も自ら行う必要がある。事業の全体観をもち実際の業務ができることが長いキャリア、ゴールデン60代を送る上で役立つことが多い。

大企業の再編とリストラが本格化した平成時代の笑い話。「何ができますか」と聞かれ、「部長ができます」と、真顔で答えた大企業の社員。完成された仕組みで動く大企業の管理者は、実際の業務をせず、会社の仕組みに乗っかっているだけの人が多かったのは事実である。

部門のビジョンをつくり部下を動機づけ目標を達成し自らも業務を遂行する、"真"の部長や課長なら人材として高い価値があり、キャリア形成の一つの方向である。

最後に、幅広い知識に億劫がらずに取り組める学習習慣を維持するためには新聞や雑誌が役立つ。いくつもの新聞や雑誌を読むのではなく1つでも全部に目を通す。苦手なことにも常時触れていることになり、必要に応じてスキルを身につける際に役立つ。数多くの新聞に目を通していることを自慢げに言うビジネス人がいるが、結局は限られた自分の好きな得意分野だけを読んでいる"偏食"なっていることに注意が必要である。

 

 

 

株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント

(元青森中央学院大学 教授)

塩谷 未知

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

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