JRSメール配信サービス発行事務局
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いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。
日本で新型コロナウイルスの感染者が発生して、3回目の夏を迎えています。一時は落ち着いていた新規感染者数は、再び拡大傾向になるなど収束の時期が見通せない状況が続いています。 コロナ禍にあって、人々の生活様式には変化が見られ、定着してきているものもあります。 そんな中で、アフターコロナを見据えた活動が活発化してきています。生活様式などの変化は、新たなビジネスのチャンスでもあります。 そこで今回のメルマガは「アフターコロナ時代の有望ビジネス」と題して、今後の有望ビジネスの方向性やその取り組みのヒントについて、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士、藤田有貴子氏に解説していただきます。
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アフターコロナ時代の有望ビジネス |
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2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「新型コロナ」)により、緊急事態宣言等の発出による移動や行動の制限など経済や暮らしに大きな影響があった。以降、2年以上が経過し、収束時期の見通しは不透明であるものの、アフターコロナを見据えた動きは活発化している。
1.アフターコロナ時代の有望ビジネスの方向性 2020年6月、NEDO技術戦略研究センターは「コロナ禍後の社会変化と期待されるイノベーション像」の中で、新しい社会像、社会的価値観として、1.デジタルシフト、2.政治体制や国際情勢変化、3.産業構造の変化、4.集中型から分散型への変化、5.人々の行動変化、6.環境問題への意識の変化をあげている。うち、ビジネスに関連するものとして、「『1.デジタルシフト』における『3.産業構造の変化』」「『4.集中型から分散型への変化』における『5.人々の行動変化』」「6.環境問題への意識の変化」の3つ取り上げる。
(1) デジタルシフトによる産業構造の変化 新型コロナにより、AI(人工知能)、テレワークによる働き方の変化、ロボティクス、物流の無人化、キャッシュレスなど非接触に対応した技術が活性化した。デジタル化により、効率性・生産性が極限まで高まることが注目される一方、デジタル化により数理モデルに変換されると、模倣されやすく優位性を失う懸念から、体験・共感価値、感性などデジタル化できないもの(アナログ)の価値が向上するといわれている。
(2) 集中型から分散型への変化における人々の行動変化 新型コロナにより、リモートワークが進んだことで、仕事のために都心のオフィスに出勤していたのが住む地域で仕事ができるようになった。デジタル技術の発達で場所や時間に縛られない生き方ができる環境が整いつつある。例えば、副業・パラレルワーク、オンラインのライブイベント、メタバース(コンピュータネットワークの中に構築された、3次元の仮想空間やそのサービス)などがある。
(3) 環境問題への意識の変化 コロナ禍による世界的な景気後退を受けた景気刺激策として、グリーンエネルギーや脱炭素(カーボンニュートラル)に取り組むことや、地球の未来や今後の社会、環境などについて問う中で環境問題への関心が高まっている。
2.アフターコロナ時代の有望ビジネスへの取り組みのためのヒント アフターコロナ時代はかつて誰も経験していない。つまり、VUCA(注)といわれる不透明で不確実な時代であり、有望ビジネスの明確な正解は出されていない。 (注)VUCA(ブーカ)は「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をっとった造語。
(1)自社のビジネス領域をベースに、「誰に、誰と、どのように」で有望ビジネスの可能性を着想する コロナ禍によりデジタル技術や環境変化、人々の行動は変化し続けている。つまり、フィンテック(金融)、ヘルステック(医療・健康)というように、どの産業でも、イノベーションを興し、ビジネスを変革できる可能性がある。 ご自分のビジネスを、1)困っている誰に向けて行うか、2)誰と一緒にするか(連携する別の主体はだれか)、3)そのためにどのような新技術・手法を用いるか(デジタル、アナログとも)について考えると、事業案が複数出てくると思われる。
2021年中小企業白書掲載事例より引用する。 1)誰に(顧客のお困りごと、ニーズに対応する) 株式会社Monozukuri Ventures(京都府 京都市)は、「ものづくりスタートアップの試作の場がない」という課題に対し、多彩なネットワークを活用し、ものづくりスタートアップの試作支援を行う投資ファンドを運営した。(事例2-1-17 Ⅱ-135) https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf
2)誰と(別の主体と連携する) 日之出産業株式会社(神奈川県 横浜市)は、インターンシップの受入れにより築いたネットワークで、独自の排水処理技術を生かしてアフリカに進出した。(事例2-1-19 Ⅱ-145) https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf
3)どのように(新技術・手法を活用する) 株式会社お掃除でつくるやさしい未来(福岡県 春日市)は、クラウドサービスの活用により、子育て世代の雇用創出と遠隔地スタッフのモチベーションの向上を実現した(事例2-2-6 Ⅱ-200)。 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap2_web.pdf
(2)着想した事業案を素早く検証していく 新規事業で用いられる「リーンスタートアップ」の手法では着想したものを、早くかたちにして試行することが有効と述べている。事業案を文字や図解でできる範囲で表現してみる。当メルマガで以前ご紹介した内閣府「経営デザインシート」や「ビジネスモデルキャンバス」も参考になる。 複数案を比較する中で有望と思った事業案は素早く、専門家や顧客想定層にヒアリングをし、市場に試し、反応を見て記録していく。これらの行動の履歴が知見やデータとなり、事業案を磨き、新しい事業を着想する種になるし、アンテナを立てて情報収集する中でヒントが見えることもあるかもしれない。 悩まれる時は、御社のパートナーや従業員の方や顧客など、また公的機関の専門家やコンサルタントとも連携し、御社ならではの有望ビジネスを作り上げていただきたい。
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イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属 中小企業診断士 藤田有貴子 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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JRS経営情報(PDFサンプル)
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情報番号 |
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◆ アフターコロナ時代の有望ビジネス |
20210380 |
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◆ 経営デザインシートとは何か |
20200754 |
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◆ ビジネスモデルキャンバスを活用して新事業を発想する |
20190342 |
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◆ 飲食店の新サービス |
20210447 |
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◆ コロナ禍で人気の新しいキャンプ場 |
20210454 |
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