JRSメールマガジン

JRSメールマガジン(無料サービス)

JRSメールマガジンは、非会員の方も含め、購読ご希望の方に旬の話題やJRS経営情報サービスには掲載されていない経営情報を月1回メールでご提供しております。
購読を希望されるお客様は、まずはご登録をお願いいたします。

No.268 JRS メール配信サービス(2022.08.29)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

コロナ禍にあって、人々の生活様式には変化がみられました。その一つにテレワークの浸透があります。東京オリンピックに向けても提唱されていましたが、なかなか浸透しませんでした。それがコロナによって急激に広がりました。

テレワークが浸透する中で、場所にとらわれない働き方が可能となり、その一つの形としてワーケーションも注目されています。普段の職場や自宅ではない旅先などで仕事をしつつ、自分の時間も過ごすというもので、社員のモチベーションの向上、企業イメージアップ、地域の平日の旅行需要創出など、社員側、企業側、受入地域側三方にメリットがあると言われています。

そこで今回のメルマガは「ワーケーションの動向」と題して、新しい働き方の一つであるワーケーションについて、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士、生田康二氏に解説していただきます。

 

 

 

ワーケーションの動向

 

 

 

1.ワーケーションとは

 

近年、新たなワーク&ライフスタイルとして、各地の自治体や企業で「ワーケーション」が注目されている。「ワーケーション」とは、もともと2010年代前半から欧米で広がった概念で、2010年代後半には国内でも先行事例(日本航空、和歌山県等)が現れてきた。

厳密な公式の定義はないが、たとえば「国土交通白書2018」では、「国内外のリゾート地や帰省先など、休暇中の旅先で仕事をするテレワーク。ワーク(仕事)とバケーション(休暇)のことを言い、長期滞在先でパソコンなどを使って仕事をすることを指す」と定義している。

 

全国的な盛り上がりの契機は、20197月に日本テレワーク協会が和歌山県や長野県と協力して開催した「ワーケーション・スタートアップ!」フォーラムである。

続いて201911月には、両県を中心に全国65自治体(1658市町村)で、ワーケーションによるワークスタイル変革及び地方創生の推進を目的に、「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が設立された。20227月現在、208自治体(123184市町村)に拡大している。

202010月には新型コロナウイルス感染拡大も背景に、観光庁が休暇取得や分散化につながるワーケーション等を「新たな旅のスタイル」と位置付け、その普及を図るための『「新たな旅のスタイル」に関する検討委員会』を設置している。

 

2.ワーケーションの類型とステークホルダー

 

ワーケーションにはさまざまな形態がある。観光庁が202012月に作成した企業向けパンフレット『「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー』においては、ワーケーションを4類型に分類している。

 

<休暇型>

①福利厚生型: 有給休暇を活用してリゾートや観光地等でテレワークを行う

 

<業務型>

②地域課題解決型: 地域関係者との交流を通じて、地域課題の解決策を共に考える

③合宿型: 場所を変え、職場のメンバーと議論を交わす

④サテライトオフィス型: サテライトオフィスやシェアオフィスでの勤務

 

また、山梨大学・田中敦教授らは、ワーケーションの主なステークホルダーを大きく4つに整理している(「日本型ワーケーションの効果と課題」2020/3)。

①制度を導入する企業

②利用する社員(個人)

③利用者を受入れる地域と行政

④ワーケーションに関連した民間事業者

 

3.各ステークホルダーの動向

 

2010年代後半から、日本航空・パソナ・富士通などさまざまな企業が地域自治体と連携しながら、ワーケーションを試行したり、社内制度を導入したりしている。

観光庁による一定規模以上の企業に対する202111月調査(600サンプル)によれば、ワーケーション認知率は66.0%、導入率は5.3%であった。また、同じく企業の従業員に対する調査(2,000サンプル)では、認知率は80.5%、経験率は4.2%であった。

 

ワーケーションは、社員の生産性と心身の健康の向上に寄与する効果が期待され、関連事業者による効果を検証するための実証実験も実施されている。

NTTデータ経営研究所、JTB、日本航空等は共同で、20206月に沖縄県でワーケーションの効果について検証実験を実施した。その結果、ワーケーション参加者は、仕事のパフォーマンスが21%上昇し、心身のストレス反応は、平均37%低下した。

 

4.制度導入企業の課題

 

ワーケーション制度導入に向けては、まだまだ障壁を感じている企業は多い。日本テレワーク協会は、20212月に企業経営層、地方自治体等を対象に、ワーケーション等を実施する上での障壁についてアンケート調査を実施した(回答122件)。その結果、労務管理、経営層・上司の理解、情報セキュリティが障壁の上位としてあげられている。

一時の流行で終わらせることなく、真の働き方改革と地域振興につなげていくために、息の長い取り組みが求められる。

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属

中小企業診断士 生田康二 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 ワーケーションの動向

20210379

 

 

 変わる日本の観光インフラ1/様々な宿泊施設への取組み

20170802

 

 

 民宿

02020819

 

 

 テレワークの動向

20170726

 

 

 テレワーク事例と実践の課題

20170729

 

 

JRSメール配信サービスは、企業の皆様に役立つ情報を、
月1回、無料でご提供するメールマガジンです。
購読を希望されるお客様は、まずはご登録をお願いいたします。