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コロナウイルス感染症の拡大、ロシアによるウクライナ侵攻、それに伴う資源高や円安の進行による物価上昇など、企業経営に影響を及ぼす想定外の事態が次々と起こっています。 経営者の方々は、どのように企業を経営していけばよいか、悩みが多いと思います。 企業経営の指南書は多く出ていますが、中国の古典にも経営に役立つ情報が多く記されています。 そこで今回から4回に渡って、古代中国の書籍である「武経七書」から経営に役立つ情報を、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士、米倉早織氏に解説していただきます。 |
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「武経七書」を活かした経営戦略(基本編) |
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はじめに 1985年アメリカにプラザ合意に合意させられ、240円/ドルが1995年には70円台後半までなり、多くの輸出産業は大打撃を受けて製造拠点が海外に移転し国内空洞化が進んだ。加えて1995年に結ばされた半導体協定により半導体産業は大打撃を受け、技術者は韓国・アメリカ・台湾等に流出し半導体産業の低迷をもたらした。 しかしながら、企業内蓄積増加と海外投資家の株主第一主義強要による株主配当増加が続き、2001年と比較して利益剰余金と配当金は、其々約2倍と約5倍になる一方で、各設備投資や、会社発展の元となる社員への投資が抑制され、また、コスト削減の為に低賃金の非正規社員を増加させることにより、産業は停滞した。加えて、不景気・好景気の要因と分析、他業務・業種への手法の応用検討、次世代産業の予想・創出と手法の応用検討が、一部の企業を除き十分に行われず、今に続く低迷の30年となっている。 このような状況で、経営者の多くは今後の企業経営をどのように行うべきかという問題を認識しているものの、その対応策に窮していると思われる。古代中国の書籍にはこれを解決する情報が多く記されているので、それを紹介する事としたい。 なお、「孫子」については、千年以上前から多くの解説本が出版されているのでそれらを参照頂くこととし、それ以外の6書籍について解説を行う。
1.「武経七書」の成り立ち 「七書」とは、「孫子」、「呉子」、「司馬法」、「尉繚子」、「李衛公問対」、「六韜」、「三略」の7書籍を指す。「孫子」をはじめとする7書籍を纏めて「武経七書」と称するようになったのは、千年近く前の北宋の時代からのようで、その多くは春秋時代(B.C.770~403)、戦国時代(B.C.403~221)に書かれたものである。以下に、各書籍の著者(活躍場所(国)・時代等)、概要を筆者が纏めたものを記す。 孫子:孫武(斉の出身、呉 闔廬(B.C.514~496))、世界的に広く読まれている兵法書。 その子孫、孫?が斉の威王の時代に活躍し「孫?兵法」を著す。 呉子:呉起(衛の出身。魯、魏、楚(戦国時代初期))、「孫呉」と併称されるように「孫子」と並ぶ中国の代表的兵法書。情報収集と分析・戦略策定、能力・条件の見定めと任務・役割付与、訓練方法等 司馬法:司馬穣苴(斉 威王(B.C.356~320))、周代司馬(軍政官)用軍政規定・心得が元、司馬穣苴が追記。組織統制、礼・義等について記述 蔚繚子:蔚繚(梁(魏) 恵王(B.C.369~319))、蔚繚(魏の出身。秦 政(始皇帝)(B.C.221頃))、二人の蔚繚がいた。法制の確立を説き信賞必罰を唱えた法家の影響あり。軍編成・統制、政治・経済等に分けられ、前半は「孫子」に匹敵する 李衛公問対(唐大宗李衛公問対):阮逸?(宋 仁宋王(A.D.1023~1063))、唐王 大宗(李世民)と重臣 李衛公の問答集。軍編成、教育訓練等。「孫子」、「呉子」、「司馬法」、「蔚繚子」の引用が多く実践体験の上に立って吟味を追加。太公望や諸葛孔明、三国志の名将が多く登場 六韜:著者不明(周 第2・3代文王・武王(B.C.1100頃))、周(B.C.1100頃~256)の初代 "太公"が待ち"望"んでいたという意味で、軍師 呂尚が文王から「太公望」と名付けられる。文王・武王と太公望の問答集で戦国時代末期に纏められた模様。各時代を通じてリーダーの必読書 三略:著者不明(漢代末期(A.D.200頃))、政治や戦いの原理原則を簡潔な表現で纏めている。北条早雲等も参考にしたとされる。
2.「武経七書」が書かれた時代背景 中国大陸では戦乱期が何度もあり、その最初が春秋時代(B.C.770~403)と、戦国時代(B.C.403~221)である。この時代は、農業生産の高まり(鉄製農具普及に依る)と、郡県制の中央集権国家に至る過渡期(封建制の崩壊)の時代であった。主な国家は以下の通り。 春秋時代: 西部の黄河上流域(渭水)に秦、黄河中・下流域(済水、河水)に周、晋、鄭、曹、衛、魯、北部に燕、山東半島に斉、南部の淮水流域に蔡、陳、宋、更に南部の揚子江(漢水、江水)流域に楚、呉、呉の南部に越 戦国時代: 西部の黄河上流域(渭水)に秦、黄河中・下流域(済水、河水)に周、韓、魏趙(晋から独立)、衛、魯、宋、中山、北部に燕、山東半島に斉、淮水流域に辟、揚子江(漢水、江水)流域に楚
この時代は、従来の概念や秩序が弱まり新概念や新秩序が求められた時代で、富国強兵を競う各諸侯は、(現在のように、高給を提示して優秀な人材を集めるのと同様に、)優秀な思想家を求め採用し、より高度な戦略立案のため優遇した。これらの思想家は総じて「諸氏百家」と呼ばれ、近代ヨーロッパの思想のほぼ全てがこの時代に既に現れていたという説もある。主なものを挙げると、「儒家」(孔子・孟子)、「道家」(老子・荘子)、「法家」(荀子・韓非)、「墨家」(墨子)などである。
前述の通り、多種多様な思想家が著した兵法書の代表が「武経七書」であり、現在の企業経営に役立つものが多く見られる。例えば、戦いにおける指揮官の対応と勝利・失敗の状況、日頃の準備と部下の意識付けの状況等である。これらトピックス的なものを抜き出し、今日の競合他社との戦いに際してどのように役立てることが出来るか等について、第2回以降に解説することとしたい。
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イー・マネージ・コンサルティング協同組合 中小企業診断士 米倉早織 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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JRS経営情報(PDFサンプル)
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情報番号 |
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◆ 武経七書を活かした経営戦略(基本編) |
20210371 |
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◆ 最強のリーダー養成カリキュラム「四書五経」の概要 |
20140459 |
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◆ 「大学」を読む |
20140460 |
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◆ 地道に、着実に「何が来ても大丈夫」な自分と会社をつくる |
20140472 |
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