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No.273 JRS メール配信サービス(2023.01.30)

JRSメール配信サービス発行

 

 

 いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

今回は、古代中国の書籍である「武経七書」から、現代の経営に役立つ情報を学ぶシリーズの4回目で最終回になります。

今回解説いただくのは、七書のうち、「六韜」と「三略」です。「六韜」は周の第2代文王、第3代武王と太公望の問答となっている兵法書です。「三略」は「六韜」と並び称される兵法書で、「六韜三略」は意味が転じて兵法の極意や奥の手といった意味でも使われています。また、「柔能く剛を制す」という言葉はよく知られています。

両書から導き出される現代の経営に役立つ情報について、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士、米倉早織氏に解説していただきます。

 

 

 

「武経七書」を活かした経営戦略 第4回(六韜・三略編)

 

 

 

今回は、「武経七書」シリーズの最終回として「六韜」と「三略」を基にした経営戦略について解説する。どちらも今日のマネジメント理論に通じる思想が含まれており、遠い昔の中国では現代のビジネスシーンでも役立つ考え方を検討されてきたことが分かる。

「六韜」から学びたい内容は、つぎの3つのポイントである。

  社員からの意見の聴き方

  人事評価の仕方

  社員の褒め方、罰し方

一方の「三略」から学びたい内容は、つぎの3つのポイントである。

  社員・顧客の意見の戦略への反映の仕方

  人材の採用と定着の仕方

  社員と経営者の一体感を生み出す方法

 

1.「六韜」のポイントと現在の経営戦略

①進言に耳を傾け洞察力を発揮して、状況を把握して対応する必要がある

君主として進言を聞く際は、自分を見失わない為にも闇雲に聞き入れる事は控えるが、最初から否定すると進言も減り閉塞状態になると記述している。

現在の経営においても、部下に指示を守らせる為に、ある程度は部下の言う事を聞いてあげようという取引的な態度ではなく、その意見は本当に私心が無く動機が正しいかを確認しながら聞く必要がある。最初の幾つかの言葉を聞いただけで否定したくなることもあるかも知れないが、部下の立場の思考ではなぜそのように考えるのか考慮しながら、その理由を問うて気付きをさせたり、より良い意見を引出したりすることが重要である。

 

②人材登用に意を用いなければならないが、その人物を見極める必要がある

仁、義、忠、信、勇、謀の「六守」を挙げてこれを備えた人選を勧めている。

現在の企業においては、仁・義・信が十分できていない人物もしばしば見られるようである。対処法として、年2回程の評価において目標達成状況のみならず、予め設定した人物として適切性のチェック観点に沿った総合評価を行うと共に、誤っている場合は正してあげてその後の行動を観察し、正しい行動をとっているか確認することが必要である。

 

③将軍は軍令の貫徹と威信の確立が必要であるが、その為には信賞必罰が重要である

現在の組織においても、地位が高いから大目に見ようとか、地位が低いから厳しく罰するという事をやっていると、組織メンバの組織に対する信頼度が低下し、人心は離れ事業は低調になる。また、地位の高い者にはより多くの賞を与え、地位の低い者には適切な賞を与えないでいると、同様に人心は離れていくのである。誉める所は誉め、罰する所は罰するということを平等に行うことが必要である。

 

2.「三略」のポイントと現在の経営戦略

①政治は、人民に配慮し何を望んでいるかを把握してそれに基づく政策実行が要である

現在の経営においても、機械的に事業を進めるのではなく、それを実行しているのは社員であることを改めて認識し、社員がどのような状態にあり困っているかを把握し、反発している者はその真意や意気込みを十分に把握してそれをどう活かすかを考え、真剣に意見を訴えてくる者はそれを真摯に聞いて実現の為の策を一緒に考える、といった事などが必要である。また、一部の社員の意見にのみ従って、思い込みで走ってしまう事を避ける為にも、他の社員や上位者等、複数の情報ルートを持ち、十分な情報分析が必要である。

 

②人材採用と定着には礼遇と恩賞が必要である

現在の人材採用においても、各企業は自社の「デジタル技術」の定義に基づき、それに合致した人材採用を行うべく高給与・高待遇を提示している。そのような能力を持つ人が力を発揮し易い環境が従来に比べて拡がっている事は良い事であると思う。一方、採用後浅い年月で離職するのは、採用した社員の提案について、その真意や目的等を聞き出す努力をしなかったり、功績があった事に対して、その位当たり前と考えて明確な賞賛や恩賞を与えなかったりすることに原因があるのかもしれず、その観点の振返りも必要である。

 

③将軍は常に兵士と苦労を共にし、心を掴むことが必要である

「軍讖」を引用し、将軍の心得として、常に兵士と同じ行動をしていれば、軍内の結束は固くなり苦労も厭わずに任務を遂行してくれると記している。

現在の組織において、経営者が一般社員と同レベルの生活を一緒にする事は考え難い。しかし、自室に閉じこもってばかりで、時々訓示を行うという、自分達は別世界の存在である事を無意識的に醸し出しているのはあるべき姿ではなく、社員と同じ服装で頻繁に現場に出て状況を肌で感じ、コミュニケーションをとったり、同じ食堂で一緒に食事をとったり、社内で催し物を開いて一緒に楽しんだりすることで、社員は一体感を感じ、より積極的に任務を遂行してくれると思われ、また、経営者は幹部からの報告では見えない状況も把握でき、より的確な経営判断が出来るものと思われる。

 

以上、詳細についてはJRSの「武経七書」のコンテンツを参考にされ、企業経営に役立てて令和五年の事業の成功を実現していただきたい。

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合

中小企業診断士 米倉早織 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(基本編)

20210371

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(六韜編)

20210376

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(三略編)

20210377

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(呉子編)

20210372

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(司馬法編)

20210373

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(尉繚子編)

20210374

 

 

 武経七書を活かした経営戦略(李衛公問対編)

20210375

 

 

 

 

 

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