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2021年にデジタル庁が発足し、国を挙げてデジタル化を進めており、中小企業でもデジタル化による業務効率化に取り組んでいるところは多いかと思われます。ただ、一歩進めて、デジタルを活用してビジネスを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)については、遅れが指摘されています。 そこで今回のメルマガは、DXの現状と課題、経営層がDXを進めるためには何をなすべきかについて、イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属の中小企業診断士、福田大真氏に解説していただきます。
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DX推進の問題点と解決によって期待される効果 |
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経済産業省よりデジタルトランスフォーメーション(以下DXとする)のDXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(以下DXレポート1とする)が発表されてから早くも5年が経とうとしている。 デジタル庁も新設されてから1年半が経過した。日本のデジタルトランスフォーメーションは官民ともに、推進の真っただ中といっても過言ではない。 あらためてDXとは何かは割愛するが、今回はDXの現状と課題、そして経営層がDXを今すぐ具体的に進めるには何をすべきか、について述べたい。
■デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と課題 総務省から2021年7月に発表された「令和3年版情報通信白書」では、デジタル化の取り組みや、ITインフラの整備は大きく進展している一方「IT利活用等は十分に進んでいるとは言えない状況」とある。世界各国のモバイルやブロードバンド整備状況を見ると、日本は上位にいるにもかかわらず「デジタル競争力や電子政府に関する国際指標では、人材やデータ分析等への評価は低く、順位は低迷」しているという。 このあたりは、普段の生活面でも個人的に感じるところがある。デジタル庁がマイナンバーカードの普及に積極的に取り組んでいるが、実生活ではマイナポイントをどう付与するかなどを、行列をなして自治体へ直接窓口に問合せにきている利用者を多々筆者も目にしている。 個人のみならず、企業活動におけるDXの現状と課題はどうか。日本企業のIT投資は業務効率化目的が中心であり事業拡大や新事業進出などビジネスモデル変革を伴うDX化は広がっていないのが現状である。なぜなら「日本のIT人材はIT企業に偏在しており、企業がDXを進める上で人材不足が大きな課題」であると述べている(令和3年版情報通信白書より)。
■DX人材の育成 経済産業省のデジタル時代の人材政策に関する検討会でも、2022年11月1日発表資料「デジタル人材育成プラットフォームの取り組み状況について」にて、「日本では76%の企業がDX人材は不足していると感じているにもかかわらず、社員の学び直しを全社的に実施している企業はわずか7.9%」であることを示している。 冷静に考えてみれば、そもそも労働人口の減少があり人材難から話がスタートしている場合、IT経営やDXを進める理由としては業務効率化や生産性向上をすることにより、人材不足を補おうとしているわけである。つまり、社内外でまたIT経営やDXを進める人材を求めようと思えば、そもそも労働人口が減っているわけであり、足りるわけがないのは当然の事象である。 そこで、経済産業省も「企業の人材投資、人材側の学び直しの両方を促していく呼び水・需要喚起策が必要」とし、現在も様々な具体策が検討されている。つまり、人材がいないなら、学び直して社内人材で補おうという目論見である。今後正式に発表されるであろう、DXレポート2.2やデジタルガバナンスコードの次バージョンに期待したい。とはいえ、経済産業省の施策を待つまでもなく、今すぐにでもDXを進める施策は、ある。
■最も重要なのは経営者のDXへの意識 学び直し、人材投資は従業員や採用だけの話しだろうか? もちろんそうではない。 いくら社員教育や採用で、社内のDXスキルが向上したとしても退職されては元も子もない。経営者や経営層がDXを推進する気がない場合や、そもそも経営者がITやDXといった横文字が苦手であれば、優秀なDX人材がボトムアップで進言したところでDXが推進されるはずもない。 つまり、DX推進の問題点のひとつに経営者の壁もあるだろう。経営者がDXを理解・認知しないことで進まないという問題である。これはDXはもちろんIT化においてや、何か変革を進めるにあたって共通する問題でもある。 明治大学の岡田浩一教授は「IT経営を推進していくにあたって、最も重要な点は経営者の意識である」(出所:岡田浩一著、明治大学、中小企業の成長発展に向けたIT経営推進についての一考察4、明治大学経営論集、2019年)と述べている。岡田教授はIT経営の推進について述べているが、DXにおいても同じことが言えるだろう。 デジタル庁のトップが代わったことで、変革のスピード感が変わったのではという実感を持つ方もおられるだろう。まさに、実例とも言える。
■経営層とDX人材は、再投資まで考慮し二次期待効果まで出そう DXに興味がない経営層に、DXを促すのは難儀である。 経営者に対してIT化をしましょう、DXしましょうでは手段の話しをしているだけである。それは経営者が従業員に対して似たように「DXしよう」と掲げたとしても同じことが言える。目的を持った時、その具体策が「明日から何をする」まで落とし込めていなければ、絵に描いた餅になりかねない。 そこで経営層には、経営上で最もわかり易い目的や目標である売上向上や経費削減といった直接的な数字(一次期待効果)の試算まですると実行の根拠になり得る。また、一次期待効果で得た利益をどのように再投資するのかも数値で具体化していく、これは二次費用対効果という。再投資の話しまで進めると、経営者も先行きが見通ししやすくなり、DXに興味を持つ段階に至りやすい。 二次期待効果までの具体策を講じられれば、上述したような業務効率化や生産性向上といった直接的な効果に留まらず、次世代への積極的な投資、それこそ学び直しや人材育成に目を向けて、長期的な経営戦略ビジョンや、成長戦略を構築することができるようになるだろう。 なお、これは従業員にも同じことが言える。例えば、デジタル化され効率化や生産性向上することにより、自分たちの仕事がなくなるのではないか、と不安を抱く。また、経営者の中にはITやDXの横文字だけでなく財務諸表といった数字も苦手という経営者もいなくもない。経営者としての資質に疑問を抱きつつも、これらの問題は、また別な機会に解決案を紹介したいと思う。
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イー・マネージ・コンサルティング協同組合所属 法政大学経営大学院 特任講師 中小企業診断士/行政書士/ITコーディネータ 福田大真 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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JRS経営情報(PDFサンプル)
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情報番号 |
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◆ ゼロからわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは? |
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◆ DX=IT化ではなくビジネス変革のこと |
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◆ 大手企業と中小企業のDX推進の違い |
20210369 |
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◆ DX推進の問題点と成熟度評価とは |
20210370 |
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◆ DXが消費者の行動を変える |
20210436 |
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◆ 「成功する」DXの進め方 |
20210438 |
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