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No.282 JRS メール配信サービス(2023.10.30)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

多くの経営者の方は、少数でいいので、会社のことを考え、意欲を持って仕事にあたり、自分の助けになる位に成長してくれる社員が出ることを願っているのではないでしょうか。 

しかし現実としては、なかなか難しく、そもそもどのようにしたら、そのような社員になるか分からない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回のメルマガは、「社長と同じ目線を持つ社員の育成」というテーマで、どのようにしたら社長目線の社員を育成できるのか、事例も含め、コンサル経験豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏に解説していただきます。

 

 

 

社長と同じ目線を持つ社員の育成

 

 

 

中小零細企業の社長は忙しく、そして孤独である。社長は社内のあらゆるレベル、つまり、現場、管理、経営を日々回しながら、同時に営業、開発、人事、総務などの役割と責任を多くの場合一人で担っている。その結果、極論かもしれないが、社員1人ひとりの毎日の業務の進捗管理まで、社長が見ることになってしまうこともある。

多くの中小零細企業の社長とのこれまでの出会いのなかで、強く感じていることがある。それは、「社長と同じ目線」を少しだけでも持つ社員が1人いるかいないかによって、その会社の業績や生存・成長が左右されることである。

 

会社と社長の不平を言っているのが楽チン

多くの中小零細企業の給与などの処遇はどこでもほぼ同じで、現実的には大差は生じない。また勤務の長さや年齢が違っていても給与はそれほど差がなく、会社や社長への関心やロイヤルティはあまり高くない(ただし、処遇のわずかの差と社長への信頼感があると、このあたりは大きく異なってくる)。

家業の枠組みを超えられず、経営者家族の生活のための所得確保や贅沢のための利益志向である中小零細企業すら散見される。このような企業で働く社員が、会社や社長への高い関心やロイヤルティを持たないのは、ごく自然のことだろう。

この先この会社でずっと働いてもそうでなくても、処遇はあんまり変わらない、そう考えるとモチベーションは上がらない。そんな状況では、どういう行動に出るかと筆者自身自問してみた。その答えは、「会社と社長の不平を言い、言われたことをそこそここなす」、「飽きてきたら、どこかに移る。どこに行っても給与はあんまり変わらないから」となるだろう。最近流行りのコストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)を、自然体で追及するとそうなってしまう。これでは社長も社員も不幸である。

ここで言う「社長と同じ目線」というのは、世間で言われる「経営者になったつもりで働け」という無理な要求をしたり、所謂「番頭」レベルを目指すことではない。会社と社長、そして仕事に対する関心や責任、誠実さ、それらをちょっとだけ社長と共有し、部分的な仕事をお互いに任せられるという、比較的手が届くレベルである。

 

ワンマンよりツーマン、そしてスリーマン

私たちは経験的に1人ですべてをやるよりは、何人かで責任を持って分担して仕事をした方が仕事の効率が上がることを頭では理解している。1人で仕事をしていると、自分が他の仕事をしたり休んでいるときには仕事は中途半端なままで全く進まない。しかし、誰かと仕事を分担したり共同でやっている場合、自分がやっていない間にも仕事は進むし、仕事の進め方のアイデアもいろいろ出てくるだろうし、仕事のミスも少なくなる。

営業活動に目を向けると、ワンマンの場合、事態はもっと深刻になる。オンラインによる商談が普及してきたとはいえ、取引先や見込み客との商談や問い合わせ対応はやはり直接会うことが求められる。リアル商談では細部までツメルことができるので効率よい。引き合いや問い合わせに、社長か誰かがタイミングよく対応しないと、貴重なビジネスチャンスを逃すことになる。

ワンマンとツーマン、スリーマンでは日々の小さな蓄積の差は大きな差となってくる。その結果、同じような仕事の会社でも社長だけのワンマンの会社よりは、「社長と同じ目線」を持つ社員がいる会社、つまりワンマンではなくツーマン、スリーマンの会社の方が業績がよく、取引先、業界や地域での信用や信頼感が高くなることはごく自然なことである。

  

どうやって育成するか

同族、非同族を問わず、仕事や仲間に関心を持ち少しでも学習習慣のある社員を複数選ぶことが第一歩。目立ちたがらず、よくも悪くも多数派に同調する社員を選抜しても育たないだけでなく、周囲の同調圧力に潰されることが懸念されるので避けたい。

これまで出会った会社での実例(どのように育ったか)を紹介する。ただし、育つには5年から10年という年月がかかることを付記する。

小さな土木工事を行うA社では、多くの社員は現場の監督や施工を担当している。大多数の社員は、管理や資料作成を伴う営業補助的な仕事は苦手だった。このことも幸いし、前職で営業をやっていた社員を営業補助と管理の一部を社長と共有した。名刺を持たせて、外部の講習会やお客さんへの挨拶回りを時にはお願いした。業界の組合の集まりや研修旅行にも、一緒に参加したり、時には代理出席をすることも。

社長と行動をともにするうちに、必然的に話す機会が多くなり非同族ながら「社長と同じ目線」を持つ社員が誕生した。

もう一つの事例。精密金属加工のB社、その社員は初対面の印象から記憶に残り現在でも親交がある。工業高校卒業後新卒で入社し、若さゆえか羽目を外すこともたびたびあった。心優しい社長は、新卒ということもあり懐深くチャンスを与え続けた。

その社員は金属部品加工に関心が深く、徐々に高度な加工すら図面をもとに1人でできるようになり、社員の中では抜きん出た存在になった。こうなると、難しい仕事が来ると社長と一緒に挑戦し、仲間からの相談にも乗るようになった。チャンスがチャンスを呼び込み、地域での技能者養成講習会の講師を務めるまでに成長。

社長は本人にプレッシャーを与える意味から執行役員の名刺を渡した。最初は戸惑っていたが、最近では「技術担当執行役員の〇〇です」と自己紹介するレベルになっている。

 

おわりに

どこでもいつでも、同調圧力と、先輩がエライという主義が蔓延している日本の社会と会社では、一人だけ目立つのは案外しんどい。「社長がダメだからうちはダメ」と社長と会社への不平を言いながら、ひたすらコスパとタイパを求める先輩や仲間に同調するのが楽チンな働き方である。

しかし、持って生まれた才能を顕在化し、社長や仲間と少しだけ「社長と同じ目線」をもって、ある意味で天賦の才能を顕在化する。地域や業界で会社と自分の存在感を上げ、ワクワクドキドキする職業人生活を謳歌することを心から願う。

 

 

 

株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授)

塩谷未知 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

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