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No.283 JRS メール配信サービス(2023.11.27)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

ある調査では「管理職になりたくない」と回答した人がかなりの割合になり話題になりました。自分のやりたい仕事をやり続けたいとの考えを持ち、それを尊重する多様な働き方を提供する職場も増えているようです。 

しかし全員が担当者では仕事は回りません。全てを社長がこなすのも大変です。仕事だけでなく一定人数が集まった集団には、リーダー的な存在が必要です。多様な働き方を志向する人が増えている中で、人数的に制限のある中小企業では、リーダーシップを発揮してくれる社員の育成はなかなか難しいのではないでしょうか。

そこで今回のメルマガは、「中小企業における職場のリーダーシップの強化について」というテーマで、社員のリーダーシップを強化する方法について、コンサル経験豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏に解説していただきます。

 

 

 

中小企業における職場のリーダーシップの強化について

 

 

 

「リーダーシップが大事」、「リーダーシップを持て」との掛け声が世の中にあふれている。長くいろいろな経験を積み重ねた今だからこそ、分かったことがある。それはリーダーシップのかけらも持ち合わせていない「無いものねだり」の大人たちから、「リーダーシップを持て」と言われ続けて育った人が多いこと。その結果、そのような大人の言うリーダーシップに反感を持ち、リーダーシップを発揮できずにいるビジネス人は少なくない。

 就職活動のご挨拶代わりの定番質問に「学生時代に力を入れてきたことは何ですか(ガクチカ)」というのがある。その答えには、ガクチカの時に果たした役割に、発揮したリーダーシップをさりげなく潜ませておくことが推奨されている。

 リーダーシップが欠落している身としては、辛い日々がずっと続いていたのは偽りのない事実である。それらから少しだけ解放されたのは、2つの出会いによってである。1つは目的に向かって一緒にやっていくというフォロワーシップ、これが身についてこそのリーダーシップという、ビジネス書の一節に出会った時である。

 もう1つは、20世紀の3大カリスマリーダーについて論じている、経営学の巨人の書籍との出会いである。その3大リーダーとは、ヒトラー、スターリン、毛沢東である。リーダーシップの発揮し過ぎの弊害とリーダーシップの多様性について書いてあった。

 カリスマ的なリーダーシップよりは、目的や目標に向かうためには、どんな組織でも仲間にフォロワーシップを発揮させるそれぞれの職場に合ったリーダーシップが求められる。

 

とにかく目立ちたくない

 少し前、「先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち」(金間大介:東洋経済新報社)という書籍が話題になった。人前で叱られるのはもってのほかだが、褒められるのも避けたいのが、現代の若者らしい(現実には若者に限らず社会全般の傾向とも言える)。とにかく目立ちたくない、リーダーになりたくない、出世したくない、しかし、よい処遇だけはお願い、となかなか扱いにくい。

 経営の立場では、成果主義や業務と処遇が連動するジョブ型雇用とまではいかないが、社内での期待役割と処遇をある程度連動せざるを得ない。職場のリーダーには業務遂行と人材育成などの役割を期待し、それに応じて処遇を上げているわけだ。

 人前に立ち、職場をまとめたり、メンバーそれぞれの意見や考えを引き出し調整し、職場をまとめ業務を効率よく推進する社員、職場に合ったリーダーは不可欠である。1人ひとりの社員を社長が直接動かすわけにはいかない(それが可能なのは社員10数人までか)。

 

時には上から目線が必要

 世間的には「上から目線」は嫌われる、と書きながら、ふと思うと「下から目線」はなんとなく卑屈な感じがあり、「横から目線」は何かを探っているようで嫌な感じがする。どうも、その時の状況に合った目線を使い分けるとよさそうだ。

 リーダーはメンバーに業務の指示やお願い、意見や考えをまとめたりするが、その場面を想像してみよう。その際、リーダーはホワイトボードを背にテーブルの前に立ち、テーブルに座った仲間に話しかける。そのシーンは、物理的にも心理的にも上から目線となっている。リーダーに対して逆の立場(メンバー)では、指示される、意見を出す、考えやアイデアを出す。そういう時は下から目線である。このように、メンバーはリーダーからの指示を受けて、応答する下から目線、仲間内と目を合わせる横目線だけとなる。

 組織をまとめるリーダーは物理的・心理的に上から目線となることが求められる。時には何らかの形で上からの目線で話をしたり、議論をまとめたりする訓練が必要となる。

 

上から目線を鍛える日々のミーティング

 「黒板を背に」、現在なら「ホワイトボードを背に」となるが、経営コンサルティング業の駆け出しの頃に上司から教えてもらったノウハウである。お客さんとの打合せや会議のリーダーシップをとるためのノウハウである。会議テーブルに一緒に座わって同じ目線を交わし合うのでは、未熟な経営コンサルタントにはその場を仕切るのは難しい。コンサルティング業務の場合、会議のリーディングをやらざるを得ないところから出てきたノウハウでもある。

 毎日、毎週、毎月と会議や職場ではさまざまなミーティングがある。その場合、リーダーにとって大事なのは、強制的な業務命令だけではなく、少しでも仲間内で納得感を持たせる、報告と指示だけではない、話し合いの要素を入れたミーティングに前向きに取り組むことである。そのミーティングを日々リードすることで、組織に合ったリーダーシップが強化されることになる。 

 ミーティングには適度な準備をして臨む。具体的には事前におおよその進行を考え、早めにミーティング会場に行き、ホワイトボードに議題を書く。そして、指示内容や議論をホワイボートに書きながら、ミーティングを自然体でリーディングするのである。

 「ホワイトボードを背に」ミーティングをよい意味で上から目線でリーディングする、このようなミーティングの積み上げを日々行ううちにリーダーシップは強化される。

 その内容を記録しその時に出した結論、さらに感じたことや思ったことをメモする。そしてそのメモを振り返る習慣を身につけたら、間違いなく組織に適応したリーダーシップが身につくだろう。それはビジネス人にとって「鬼に金棒」スキルとなるはずである。

 

おわりに

以前お会いした中小企業の経営者がしきりに言ったことを時折思い出す。

「指示だけ受けている、下から目線。そして、素直にすぐにやるかどうかを自分の判断でなく、隣の人と横目線でアイコンタクトしてから仕事に取りかかる。これでは、リーダーや核になる人材が育たない」と。

時には「上から目線」で話す、指示する、説明するという、物理的・心理的な「上から目線の『場』」を、意識して設けているとのことだった。

ミーティングや会議の仕方に、少しだけ違った視点を入れるだけで自分たちの組織に合ったリーダーシップは、ちょっとだけ強化されるのではないか。

 

 

 

株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授)

塩谷未知 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 管理職に必要なリーダーシップをどう開発・強化していくか 

20090716

 

 

 リーダーシップを発揮させる研修

11040950

 

 

 リーダーシップ発揮のためのリーダーの心得10か条

20100624

 

 

 リーダーシップを習慣化する

20090636

 

 

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