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今回は「エンパワーメント」シリーズの３回目です。

事業環境が急激に変化する現代では、多くのビジネスパーソンは何らかのストレスを感じているのではないでしょうか。その要因は様々ですが、経験の乏しい若者は一層ストレス感じているのではないでしょうか。その背景には、何らかのその人の欲求が脅かされていることもあるようです。

そこで今回は、「現在の若者は完璧主義！？」というテーマで、具体的な例を交えて、多くの企業で３０年間にわたってエンパワーメント研修の指導をされてきた、八尾芳樹氏に解説していただきます。

現在の若者は完璧主義！？

ストレスの原因の一つに、その人の欲求が脅かされたり、妨げられたりするということがある。

次の内容は20代の人（ｎ＝110）が仕事しているとき、どのようなことにストレスを感じるかを挙げてもらった項目である。

１．現場管理ができておらず工程が遅れてしまった

２．納品したものに間違いが見つかった

３．職場で目上の人には緊張してしまいコンタクトをとることが難しい

４．バグのあるアプリケーションをリリースしてしまった

５．計画通りに仕事がすすまない

６．作業時間が予定以上にかかっている

７．お客様との会話がうまくいかない

８．ミスが連鎖しないか不安

９．施工方法に問題がないか不安

10．リフォームの際、専門的な質問に答えられず、お客様を不安にさせてしまう

11．お客様に電話するのを忘れた

12．知識のあるお客様と会話するときに緊張する

13．材料発注で誤発注がないか不安になる

14．その他

職種は設計、事務、営業、技術、現場監督など多種多様である。しかし、これらに共通しているのは、彼らにとってすべてが「完璧欲求」が満たされなかったり脅かされたりすることによって生じたストレスだということである。（調査協力者の主観的判断）

調査してみると、110人中1位が「完璧」、続いて次のような欲求であった。

1位　完璧欲求　36人

2位　承認欲求　16人

受容欲求　16人

4位　達成欲求　12人

5位　安全欲求　　7人

正確欲求　　7人

このように三人に一人が完璧欲求を挙げていた。当然、完璧のみならずその奥に完璧にしないことによって上司や顧客から承認されない、受容されないと他の欲求が潜んでいることも考えられる。このデータをある高校の教師と共有したとき、その学校の高校生にも同じような傾向がみられるとの感想を言っていた。現在の高校生も完璧であることが重要であると考えているのかもしれない。

完璧に仕事をすることは当然重要である。また、この完璧は日本人の仕事の仕方として誇ることができる。外国人が日本に来て驚くことに、「鉄道が時間通りに走っており、少しでも遅れると駅構内のアナウンスで到着の遅れのお知らせがある」との記事を目にしたことがある。また、メイド・イン・ジャパンといえば完璧なほど高い品質の製品というイメージがある。

しかしいつも完璧に仕事をこなすということは難しい。今回完璧にできなかったら次に完璧にできるよう努力したり、仕事内容を再確認する考え方は一般的であるし合理的でもあるが、完璧でなければダメであると非合理的な信念や価値観を持つと自己肯定感が低くなったり、心が疲れたりする。

いつも完璧でなければならない。すべてにおいて完璧でなければならない。これからもずっと完璧でなければならない、と考えるのは非合理的である。これら非合理的な信念や価値は子どものころに「一番でなければダメ、二番以降はすべて同じ」「金メダルだけがメダルで銀メダル以下はすべて同じ」と親や上司から教えられたりして、それに縛られているのかもしれない。または自分が勝手に思い込んでいるかもしれない。「完璧でありたい」という欲求ではなく、この「完璧でなければならない」という縛りは生きづらく新しいものが創造しにくくなってくる。

株式会社アイベックス・ネットワーク コンサルタント

㈲ＹＡＯ教育コンサルタント　代表取締役　八尾 芳樹　https://yao-ec.co.jp　

なお、「ＪＲＳ経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

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