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No.291 JRS メール配信サービス(2024.07.29)

JRSメール配信サービス発行

 

 

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2008年より日本の総人口は減少に転じ、特に生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年から減り始めています。これは日本の産業の先行きを不安定にするものであり、また、高年齢者に対する、職場及び家庭における対応をどのようにするかも、非常に重要になってきています。

今回は、イー・マネージ・コンサルティング協同組合で中小企業診断士としてご活躍の 米倉時雄氏に、高齢化の現状とそれを招いた要因、高年齢者の雇用対応と就業者数について解説していただくと共に、就業の課題と対応策について高年齢者・若年層・企業の立場から解説していただきます。

 

 

 

高年齢者雇用の課題と対応策

 

 

 

1.高齢化の現状

()総人口・生産年齢人口の減少とその要因

①総人口・生産年齢人口の推移

総務省統計局2024/6/20公表人口推計によると、2024/1/1確定人口は以下の通りである。

総人口:12414.3万人(前年同月比▲60.9万人(0.49%))

15歳未満:1408.9万人(▲34.3万人(▲2.38))

1564歳:7384.5万人(▲30.1万人(▲0.41))

65歳以上:3620.9万人(同+3.6万人(0.10)(総人口の29.2%)

75歳以上:2020.7万人(同+71.7万人(3.68)(16.3%))

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2023年推計)」によると、2065年には総人口は9159万人(前回2017年推計8808万人)になり、総人口に占める65歳以上の人口は3517.1万人(比率は38.4%:前回推計と同じ)になると推計される。

一方、生産年齢人口は1995年の8726万人から減少し、2015年には7728万人、2022/117421.4万人(総人口の59.4%)、2070年には4535万人になると推定される。

②人口減少の要因

1974年の「日本の人口動向(人口白書)」によると、人口増減が無い「静止人口」を目標にして2010年に人口がピークになりその後減少すると予測した。(実際は2008年がピーク)

また、1974年の人口会議(民間団体開催)で「子供は2人まで」と宣言している。この意識が国民に浸透し、人口は減少に向かって行ったと予測する。

これに加え、バブル崩壊後の1990年代以降、給与が余り上がらず余裕が十分持てなかったり、将来に対する希望が薄らいだりしたことも影響していると思われる。

 

()高年齢者の雇用対応と就業者数

2021/4/1施行の「改正高年齢者雇用安定法」では、65歳~70歳の就業機会確保の為、以下の何れかの措置を講じる事が努力義務とされた。

70歳迄の定年引上げ、 ②定年制廃止、 ③70歳迄の継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)導入、 ④高年齢者が希望するときは70歳迄継続的に業務委託契約を締結する制度導入、

⑤高年齢者が希望するときは70歳迄継続的に以下の事業に従事できる制度導入

a. 事業主自ら実施する社会貢献事業、

b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

しかし、賃金水準は各社判断による為、低賃金であることの改善も今後の課題である。

なお、総務省統計局によると、2022年の65歳以上の就業者数は2021年より3万人増加の912万人(就業率:約25.2%)となり、19年連続で増加している。(就業者:月末1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した者、又は月末1週間に仕事を休んでいた者)

 

2.高年齢者の就業の課題と対応策

()課題

①高年齢社員の感覚と実体

定年・管理職定年後に退社、転籍、配置転換等をされ、経験・技術が活かせなかったり、大幅な給与・賞与低下や大幅な権限縮小となったりする方が多くいるのが現状で、モチベーション低下の防止が課題の一つである。

しかしながら、内閣府の2022年の発表によると、「働ける内はいつまでも働きたい」と考える、現在収入のある仕事をしている60歳以上の方は約40%おり、75歳位・80歳位まで働きたいという方も含めると、収入のある仕事をしている方では約90%もの方が、就業意欲を持っている。

②若年層社員の感覚

2019/6/11の旅行サイト「エアトリ」の調査によると、65歳以上の高年齢社員と一緒に働きたいと回答した2030代の社員は約32%、40 代では 39.1%であったが、2030代の社員の約18%が一緒に働くことに否定的だった。

あくまでも1社による調査ではあるが、高年齢社員は両親或いはそれ以上の年齢差があることから、意識が合わないと決め込んだり、何を考えているのか分からないが理解しようとしないという思いがある為と予想される。

③企業の感覚と問題点

高齢者に対しての企業の感覚は、一般的には以下が考えられる。

適した業務が無い、 新業務の習得に時間を要する、 体力的に無理が利かない、

技能・経験を他社員に教えるのが不得意、 過去のやり方に拘りがち

また、企業の問題点としては以下が挙げられる。

高齢者に適した仕事の検討や仕事の割振りが不十分、 体力面・精神面の補完をする物理的・精神的対応が不足、 若年層社員との協業は困難と思っている、 高年齢社員よりも若年層雇用がより重要と考えている

()対応策

①高年齢社員の対応策

 周囲の社員から期待される事は、多種多様な経験と能力である。

.技能・知識を分かり易く教える能力を付け、現在の状況に適合させスムーズに行う

.新専門知識・技術を積極的に身に付けると共に、新しい業務遂行方法を取入れる

.一緒に解決しようという働きかける姿勢、若年層社員等からも謙虚に学ぶ姿勢

②若年層社員の対応策

お互いに尊敬し合い補完関係にあることを認識して以下の対応を行う。

.経験・知識・ノウハウが豊富な高年齢社員からそれらを吸収し、短期間で自分の力を高める事が出来るという積極的な心構えを持って接する

.高年齢社員が把握できていない技術・業務遂行方法を相談してきたら、避けずに積極的に教える

.高年齢社員が身体的に無理が掛かる業務を補完する

③企業の対応策

.機械設備・作業環境などの物理的改善による、快適な職場環境形成や安全衛生面向上

.相談窓口設置や作業における配慮、コミュニケーションの活性化等の精神面の改善

.日々の健康面の配慮

なお、厚生労働省は「高年齢労働者に配慮した職場改善マニュアル~チェックリストと職場改善事項~」を作成している。8配慮カテゴリの約5項目を、1(できていない)~5(ほぼできている)の点数付けを実施し、13の場合はこのチェックリストにある「高年齢労働者に配慮した職場改善事項」を参考にし、職場の改善対策に取組む方法もある。

 

 

 

 

イー・マネージ・コンサルティング協同組合

中小企業診断士 米倉時雄 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 高齢化の現状と高齢化がもたらす社会問題

20100571

 

 

 高年齢人材の採用と効果的な活用方法

20170580

 

 

 高齢化の現状と課題及び対応策

20230498

 

 

 高齢者・シニア人材の心理的特性を理解する

20220520

 

 

 高齢者に適した働き方や職場をどのように提供するか

01041253

 

 

 

 

 

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