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現代は、様々な情報が身の回りに溢れ、なかなか思考の整理がつきにくかったり、物事の本質を見極めにくい時代。特に社会に出たばかりの新入社員や若手社員は、その傾向が一層強く仕事を上手く進められないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、「ものごとを『分けて考える』習慣の大切さ」と題して、分類整理によって事実や問題・課題を見えるようにする方法について、人材育成についてのコンサル経験も豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏に解説していただきます。
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ものごとを『分けて考える』習慣の大切さ |
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世の中にはいつもバタバタと忙しそうにしている人と、そうでない人、また、話が分かりやすい人と、そうでない人の2種類の人がいる。 極論すれば、「ものごとを『分けて考える』習慣」があるかどうかの差と言ってもよいだろう。自分が抱える仕事を分けて整理し優先順位をつけられるか、話をするときに個別のコトをバラバラに話しては、自分では分かっているつもりでも、相手には伝わりにくい。 ?仕事や日程を大・中・小の階層に分け、「全体と個」を押さえながら個別具体的な仕事をしたり話をしたりすることで、バタバタ感や話の分かりにくさを回避できることが多い。 17世紀頃の哲学者デカルトの方法序説のなかの、『分けて考えよう』の考え方が、ビジネスや科学的思考のベースとなっている。自然科学、例えば生物学は生き物を『分けて考える』方向に進んできた。生き物を分けていく、つまり、細胞に、さらに遺伝子、さらに小さく分ける方向に研究は発展、『分けて考える』ことで生物学は大成功を収めたのである。
分けて「塊り」を見つけるのが企業活動の本質 ビジネスの「塊り」を見つけ、「塊り」をターゲットに、できるだけ効率よくサービスや商品をつくりお客さんに提供する、そこに企業活動の本質がある。例えば、食品事業で考えれば、高級カテゴリーの食品という「塊り」がある。お客さんは、単純に考えれば高所得者という「塊り」となる。もちろん、高所得者でなくても何かのお祝い事のハレの日には高級品を購入し非日常を楽しむことが多々ある。ここにも、お客さんの「塊り」がある。 具体的にはよい原材料から丁寧に高級食品をつくり、高所得者やハレの日を楽しむ、というお客さん(=顧客セグメント、お客さんの塊り)に効率よく届けるのである。 優れた経営者や管理者は、ごちゃごちゃした事業やお客さんからビジネスの「塊り」(ビジネスユニット)やお客さんの「塊り」(セグメント)を見つけることに卓越している。 例えば、お客さんごとの売上をパソコンに入力しながら、頭のなかではお客さんの「塊り」が見えてくる。一見単純な作業をやりながらでも、『分けて考える』習慣があるので、お客さんのセグメントが見えてくるわけだ。後はスムーズに事は運ぶ。セグメントごとの販売促進策を具体化、仲間と共有(シェア)し効率よくお客さんにアクセスするのである。
ごちゃごちゃ、モヤモヤ、は共有(シェア)できない ビジネスの天才は目の前の問題や起きていることを眺めるだけで、問題の本質に気づき、何から着手すればよいか瞬時に分かる。ふつうの人が目の前の現実に対峙するには、起きているいろいろなことを「分けて考える」、つまり、分類・整理することが不可欠である。 ?天才はある意味で4次元(空間軸×時間軸)の絡み合った現実を瞬時に理解できるが、ふつうの人は2次元の平面でしか理解できないし、仲間と共有(シェア)できないもの。 そのごちゃごちゃ、モヤモヤの現実を『分けて考える』スキルは、ビジネス人にとってとても役立つ。このスキルがあれば、バタバタ感はなくなり、仲間への話も伝わりやすくなる。複雑な現実を可視化(見える化)するのに役立つのが、次項で触れるKJ法である。 重要である・そうでもない、自分でできること・できないこと、短期・中期・長期、職場・部門・全社・社外・社会などの階層、大・中・小、緊急度、役立ち度、コストが大きい・小さい、仕事の階層(大・中・小)、定期・不定期・突発的、効率追求・効果追求、QCD(品質・コスト・納期)、など、多様な視点で分けて整理することになる。 ビジネスの実務家にとって、自分でできること・できないこと、その2つに大きく「分けて考える」ことで、「自分でできないこと」で悩み「大変だ、大変だ」とバタバタすることはなくなり、周囲から「アイツ使えねぇ」という誤解からは解放される。
KJ法的な思考を日常に 日本で発明され世界に誇るソフトテクノロジーに、KJ法(発明者の川喜多二郎氏の頭文字に由来)がある。複雑に絡み合ったものごとを可視化し『分けて考える』には極めて役立つ。ふだんの仕事で日常的に何度も実践し、カードを使わなくても頭の中でできるようになればしめたもの。誰でもKJ法を繰り返し実践していると、早晩その域に達する。 ビジネスの実務家にとって、目の前に山積した仕事を整理し、仕事の優先順位をつけるためにとても役立つ。 KJ法は次のような順で行う。 ①気になっている・困っている・気づいていることを、1枚のカードに1事項書き込む ②似たモノ・コトをまとめタイトルをつける ③いくつかのグループを関係づけ、階層に分ける ④まとめ、問題を整理しストーリー化しスケジュールに落とす。 例えば食べ物で考えると、①リンゴ、ナシ、ホウレンソウ、キャベツ、イワシ、マグロ、②リンゴとナシは果物、ホウレンソウとキャベツは野菜、イワシとマグロは魚、③動物性食品、植物性食品、生鮮食品、食品と階層化、④まとめ、例えば、腐りやすいモノから順番に食べる、という具合にメニューを考える。 最初はカードを使って愚直にやるのがよい。慣れてきたら、ノートやパソコンに気になることや問題、やるべきことを書き込んだり打ち込み、それを眺めて整理する。慣れてくるとノートに書き込んだりパソコンにインプットしているうちに問題や課題を階層的に分けて理解でき、同時に短期・中期・長期のスケジュール感が頭に浮かび上がってくる。
おわりに 似たモノやコトをまとめる、という分類が、デカルトの方法序説の『分けて考える』第一歩、さらに階層構造に分けて考える。 会社・本部・部門・部・課・係・班などと、どこのレベルかと考えるわけである。その中で、自分がやれることを、短期・中期・長期の視点を持ってしっかりやり続けるのが、ビジネス人として生き残る肝となる。 『分けて考える』ことで生物学は発展したが、限界も明らかになった。生き物をどんなに細かく分けても「生きているという生命の神秘」は解明されていないからだ。同じように、人気ラーメン店、1億ラーメン総評論家の現在、おいしさや流行っている理由について『分けて考える』、つまり評論家的に分析するのがトレンド。スープは?麺は?ゆで方は?などとやるわけだ。しかし、ラーメンの「おいしさ」は『分けて考える』科学的思考より、理論・理屈抜きに食べた瞬間に素直に感じた、「おいしい」だけで十分であることも多い。
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株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授) 塩谷未知 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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JRS経営情報(PDFサンプル)
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情報番号 |
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◆ KJ法/問題に関連する情報から原因や解決策を導き出す技法 |
20080482 |
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◆ 「分ける」は改善の大原則 |
20070698 |
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◆ フレームワーク(思考の枠組み)を仕事に活かす方法 |
20170794 |
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