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いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。
企業人が日々日常の業務をこなしていく中で、より高いレベルのビジネススキルを身につけていくためには、「一つ上の視点で眺め考える」ということが重要です。
今回は、一つ上の視点を、「内外」「上下」「左右」「前後」という4つの観点から捉え、身の回りの状況、出来事を体系的に整理していく考え方について、人材育成や経営ビジョン策定についてのコンサル経験も豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏に解説していただきます。
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一つ上の視点で眺め考える |
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営業や商談などで初めての会社を訪れ、お互いに自分の会社について説明する。事前に情報収集はするものの、リアルの接点によってお互いを正確に理解し、よい印象をシェアするには、きちんと伝わり共感できるプレゼンテーションが欠かせない。
世の中は階層構造になっている-内外上下左右前後 上級管理者や経営者が率先して説明する場合もあるが、最近はデジタル機器に精通した若い人が会社説明を行うことが増えている。会社を代表し、上司の前でお客さんに説明するのだが、経験や知識が少ない若い社員が緊張のあまり陥りがちなことがある。 若い社員を責める気は毛頭ないが、自分が関わったことがあり自信があるところに、どうしても話が集中してしまう。個別のことに時間が割かれ、社会や産業界における会社の立ち位置を踏まえながら、会社や自分たちの部門の仕事と役立ちをうまく伝えられなくなってしまう。 人にビジネスを上手に伝えるには、体系的な整理が欠かせない。平たく言えば「内外上下左右前後」の視点である。自分・自社・自部門なのか、それらの外部なのかという「内外」、会社や社会での位置づけという「上下」の階層、サプライチェーンのどこに位置づけられるかという「左右」。そして、昨日・今日・明日という時間の流れの「前後」である。 中でも上下の見方、階層的にものごとを眺め考えることは、ビジネスの場面で有効である。世の中は、基本的には階層構造になっているからだ。
例えば、人気店のラーメンを食べる。
グルメ情報を参考にラーメンを楽しみながら、できるビジネス人としては世の中の階層構造でラーメン店を位置づけたい。ラーメン店の1つ上のカテゴリーは、中華系の店、つまり、町中華、高級中華、そしてチェーン店があるだろう。その上には、外食産業、サービス産業、さらに経済や社会という階層がある。 「あのお店は流行っている・そうでもない、おいしい・不味い」という、ネットのグルメ情報の確認は楽しい。さらに、中華系外食、外食産業全般、社会や経済に目を向け観察し関連する情報を集め階層的に理解する。 そんなことをふと思い出したときにやり続ける。すると、個店だけでなく、業界、経済や社会全体のトレンドや構造が、肌感覚で理解できるようになる。
1つ上の立場で眺め考える 伝統的な組織の名称で言えば、会社は班・係・課・部・事業部・事業本部・全社という階層で成り立っている。さらに会社の外は業界・産業、経済・社会という階層になっている。身近な、そして世の中の階層構造に関心を持つのがスタートである。 ビジネス人という言い方ではなく、サラリーマンと言われた昭和の時代から、昇進した際にマゴつかないように次のようなことが推奨された。上司の仕事ぶりを眺め、時々上司の立場で考えながら仕事をやることである。異動や昇進などで立場が変わったときのための備えである。 誰よりも出世したい人には、もっと上の視点を持てと過大なプレッシャーや仕事の負荷をかける、令和の今ではパワハラに該当する上司も珍しくなかった。 足元の仕事を遂行しつつ、1つ上の立場や視点を持ち考え続ける、そのようなビジネス人の見える世界は広がっていく。さらに、1つの「広がり」は次の「広がり」を運んで来る。その連鎖によって、実務ができ、その実務を世の中のトレンドと客観的に関係づけられるビジネス人が誕生する、それは「鬼に金棒」状態である。
ビジョン構想力につながる 一般社員、課長クラスの中間管理職、部長クラスの上級管理職、役員以上の経営職、と職位が上がるにつれ、抽象的なビジネススキルがより求められる。業務遂行に必要なテクニカルスキルに加え、内外上下左右前後コミュニケーション力などのヒューマンスキル、そして、ビジョン構築などのコンセプチュアルスキルである。 会社の内部だけでなく外部である、業界、産業、技術、そして社会や経済のトレンドを実感する。その実感をベースに、地に足のついた具現化できるビジョンを構想する、コンセプチュアルスキルが上位層の実務家には要求されるわけだ。 ここで構想するビジョンは、学者や経営コンサルタントが描くものとは本質的に異なる。それは自社の現実に向き合い、具現化できる経営戦略や計画に直結しているからだ。 長年実務を遂行しながら、1つ上の視点、さらに1つ横(左右)、そして1つ前と後ろ(過去・現在・未来)などの広い視点から眺め考え続けてきた実務家だけが身につく知恵とスキル。それは会社だけでなく、世の中にとっても得難い貴重な資源である。
おわりに 1980年代後半に21世紀ビジョンづくりに数多く携わったが、その当時、「21世紀に会社にいない社員がつくっても・・・」というコンセプトが一般的だった。その後、年齢と経験を積み重ね21世紀に入り四半世紀近くが過ぎた今は、宗旨替えの心境である。 自社と世の中の変化を自らが経験してきた「前」の時間が長くなるほど、「後」の長期の未来の時間感覚を持つことができる。その結果、よりよいビジョンが期待できる(1つ「上」の視点というより「前」と「後」の視点だが)。 事業を継続・成長させ、人を育て、収益をきちんと確保しながら社会とともに日々歩んでいる実務家はすごいと思う。その希少な実務家は、俗な言い方をすると、出世するかもしれないが、そうでなくてもビジネス人生を豊かにする。 日々の仕事をしっかりやり、「1つ上の視点で眺め考える」ことを、時折思い出した折に気紛れでよいからちょっとだけやってみたい。 そのために週1日ぐらいの負荷がかからない実践がよい。一般紙・誌や業界・経済・紙誌を隅から隅まで全紙面に目を通し、何かを発見し記録し時折振り返るのが有効かつ効率的である。多くの紙・誌に目を通すより1つだけでも徹底する。つまり数多くの紙・誌に目を通しても、心地よく楽チンな自分が得意で知っていることしか読まないからである。
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株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授) 塩谷未知 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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JRS経営情報(PDFサンプル)
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情報番号 |
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◆ 会社を強くする経営者とは |
20150927 |
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◆ 異業種との接点を持ち自社の競争力を上げる |
20150929 |
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◆ 習慣、スキル、理論、そして仕事観を身につける |
20230437 |
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