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近年、パソコンや機械に向かって黙々と仕事をし、様々なスキルや情報を集積することで、自分自身の知識や能力を懸命に高めようとしている人が増えてきているように思われますが、それだけだと周囲や会社全体のコミュニケーションが薄れ、なかなか新しい発想が芽生えずに次第に閉塞感が漂ってくるのではないでしょうか。
今回は、少し砕けた内容ですが、「気前のよさが自分の世界を広げる」というテーマで、知識や経験を自分の中に抱え込まずに「気前よく」後輩や仲間たちにシェアすることにより、新しいことに挑戦し、新しい価値の創造にもつながるのではないか、という内容について、人材育成や経営戦略の策定についてのコンサル経験も豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏にお話いただきます。
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気前のよさが自分の世界を広げる |
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単身赴任生活時代に大変お世話になった居酒屋の女将さん、今でも酒を飲むたびに思い出す。遠来の友を案内すると、とても喜び、満面の笑顔、地酒と地肴(さかな)の大盤振る舞い。これでお店が成り立つのかと心配になることもしばしば、最後にはわが友に地酒のお土産まで。 「気前のよい」お店で酒を楽しむ、それは金銭的なおトク感ではなく、何とも楽しくなり心が広くなった。心が広くなるお店には、いろいろなよいお客さんがたくさん集まる。お客さんが集まることで情報が集まる。当然の成り行きとして、「人」だけでなく「知」のネットワークが拡がり、さらに多様な人が集まることになる。 ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源は、「集まるところに集まる」という特性があると、経験的に感じている。その特性を強引に当てはめれば、「気前のよい」居酒屋さんには人と情報が集まり繁盛店に、会社なら幅広い経営資源が集まり収益拡大に繋がる。
リベラル(Liberal)の意味との出会い 「気前のよさ」に次に出会ったのは、リベラルと保守という議論が世間を賑わせていた10年ぐらい前のことである。リベラルに関する本をいくつか読んでいた時、リベラル(Liberal)の持つ重要な意味を初めて知り驚くとともに無知を恥じた。 Liberalの持つ幅広く深い意味を知るほど、「Liberal(リベラル)」の大ファンとなり、以来多用している。酒席での知ったかぶり、研修会やコンサルティングの現場では相手と場所を選ばず、付け焼き刃の知識を披露し周囲からの顰蹙(ひんしゅく)を買っている。 手元にある英和辞典を引くと、Liberalには①気前がいい、②自由な、という訳語が当てられている。自由になり自由を標榜するには、「気前のよさ」が前提となると、勝手に解釈しているが、あながち的外れでもないだろう。 「気前のよさ」、最初に思い浮かべるのは上司との飲みの席だろう。支払いは割り勘ではなく、「おごる・おごられる」ということだろうか。これは俗っぽいが「気前のよさ」の一つではある。上司やエライ人に飲みに誘われ、割り勘では二度とお付き合いする気にはならないだろう。それがまっとうな感覚、誘われた若い人は貴重な時間を浪費し気を遣っているからだ。 お金に余裕のある人が居酒屋さんの勘定を持つ、つまりお金を使うというのは「気前のよさ」の一つではある。お金以外にも、社会や仲間に対し、自分の時間を使う、自分の経験や知識、知恵を使う、体力を使う、気を遣うなども、その人の「気前のよさ」の表れだ。 「使う」、「遣う」では、上から目線を少しばかり感じる人がいるだろう。たぶん、持っている人が、お金、時間、経験、知識、知恵、体力や気力を共有(シェア)するというのが、もっともフィットするのではないか。
閉塞感がある会社や地域 これまで出会った多くの会社や地域のなかで、閉塞感が漂っている所では、言い過ぎかもしれないが、会社や地域の先輩やエライ人は多かれ少なかれケチだった。誘われて一緒にエライ人の行きつけのお店に飲みに行っても割り勘、というより飲みに行くという時間をシェアすることすらなかった。 そんなエライ人の一人をいつも思い出し、自分への教訓にしている。その人の何かのお祝いの席に、お付き合いのある仕事仲間に誘われて参加、ご挨拶は自分の過去の役職や経験の自慢話だけ。自分の得た経験や人脈は自分だけで抱え込んでいたことに改めて気づいた。 自分の持つリソースを地域や仲間とシェアせず、自分のポジションを守り続けたのである。多くのことを仲間とシェアし、自分も後輩も、会社も地域も新しいことに挑戦し、新しい価値を生み出す、そのことが会社や地域の活性化の一つの鍵となるはずである。 それができない会社や地域は閉塞感に溢れ、若い人たちは閉塞感に耐えられず見切りをつけ退社したり地域を出ていくことになる。
VSOP&L どんな環境に置かれても才能を発揮できる天才はよいが、普通の人は多種多様な知識や経験を積み重ねることで、持って生まれた才能が開花する。会社や地域で日々の仕事を続けることで知識や経験を蓄積し続け、ある時期に画期的ではないにせよ、現実的な課題に挑戦し新しい価値を生み出す。さらに、その成功の過程や結果により獲得した経験や知恵を後輩や仲間たちと、「気前よく」シェアする。「気前のよさ」のよい循環である。 話はちょっと変わるが、ずいぶん前、昭和の終わりか平成の初めの頃だったが、新聞のコラムでビジネス人の生き方の「VSOP」という言葉に出会った。妙に気に入り時々思い出し、わが身を振り返り、仲間とシェアしている。 アルコール離れが進む現在では「VSOP」にすぐにピンとくる年代は、既に現場から離れている。そのため、若きビジネス人に話しても、「なに、それ?」というオヤジギャグに近い反応を示すが、懲りずに講釈し続けている。ブドウが原料の蒸留酒であるブランデーの高級品を示す「VSOP」、本来の意味はさて置き、「VSOP」になぞらえてビジネス人の生き方を示唆した処世訓である。 できるだけ幅広い経験を積むVarietyの20歳代、専門性を追求するSpecialtyの30歳代、経験と専門性を生かしてOriginalityを創造する40歳代。さらに50歳代になると「人格や個性、信用、存在感」などというPersonalityを磨く。営業パーソンなら、営業スキルが優れていることはもちろんだが、「居るだけで価値がある」というレベルだろう。 元気なシニアが増えている令和の時代、60歳代、70歳代と活躍する年代が延びている。そのため、昭和の時代の「VSOP」ではカバーできない年代の存在の大きさに、最近気づいた。 屋上屋を重ねるが、長年愛用している「VSOP」に大ファンの「Liberal」を加えた。
おわりに 経験や時間、情報・知識・知恵、人脈などを仲間と「気前よく」シェアする、それが60歳代以降の自由と広い世界に繋がり、楽しいライフステージを送れるのではないか。同時に、地域社会や仲間ともにハッピーになれるのではないかと、思い込んでいる。
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株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授) 塩谷未知 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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情報番号 |
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◆ ベテラン社員の技術・技能の伝承の方策 |
20230435 |
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◆ シェアリングの発想を活用し業務時間短縮・生産性の向上を図る |
20180557 |
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◆ 「商売抜きの関係」が持つ力/ボス最後の日 |
20150576 |
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◆ 分かち合っても減らないもの/クララの涙 |
20150599 |
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