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昨今、SNSなどで事実や状況をよく確認しないままに感情的な怒りを投稿し、それが非難なのかひぼう中傷なのか分からなくなっている事案が多々見られます。ビジネスの世界においても、社内でのパワハラや顧客からのカスハラなどの問題が注目され、これらの行動の元凶でもある「怒り」の感情をどうコントロールするかということに関心が集まっています。 今回は、「コミュニケーション力アップに役立つアンガーマネジメント」と題して、怒り(アンガー)の感情をどう制御し、前向きなコミュニケーション力のアップに活かしていくかについて、人材教育や経営ビジョンの策定についてのコンサル経験も豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏にお話いただきます。
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コミュニケーション力アップに役立つアンガーマネジメント |
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世の中には多種多様なハラスメントが溢れている。中でもセクハラとパワハラは双璧とも言える存在だろう。最近、自治体の首長による怒りを伴ったパワハラが話題になることが多く、パワハラを助長しがちな怒り(アンガー)をどう制御するか、というアンガーマネジメントに関心が集まっている。 古来より「短気は損気」と語呂合わせで言われてきたが、怒りを他人にぶつけて大切なヒト・モノ・カネを失った人は多い。一瞬の怒りにより人間の器量の底が割れ、失った信頼や信用の復活には途方もない時間がかかる。人間は「理不尽に怒られた」というしこりを記憶するので、何らかの形での「しっぺ返し・仕返し」の炎を燃やし続ける。まさに「怒り3秒、信頼・信用回復に3年、あるいは30年」というところだろうか。
昭和の時代には一つの個性だったが 昭和の時代に、自分の思い(込み)や考えと異なるだけで、すぐに怒りの感情を露わにする、「瞬間湯沸かし器」と言われた管理者は珍しい存在ではなかった。当時は「あの人はああいう人」として片づけられ、ある意味で「一つの個性」として一応容認されていた。 そんな昭和の個性を体現した管理者を時々思い出す。理不尽に怒られた記憶は部下たちにはしっかり残り、その管理者の定年退職者のイベント時に顕在化した。主役の一人であったが、定年退職セレモニーの後の立食パーティーの席で、かつての部下たちは誰一人として話しかけようとしなかった。 その管理者は怒った後にそれなりにフォローしていたが、決まって「お前のためを思って」が枕詞につく勘違いのマウントぶり。いくら昭和の時代でも通用するわけがない。
「怒り」が「怒り」を呼ぶ 誰しも「こうあるべき」という、自分なりにこだわっている価値観をもっている。それに反することに出遭ったときに、負の感情がマグマのように溜まり爆発するのが「怒り」である。日常的によく起きるのは「遅刻」を巡ってである。確かに、大事な商談に、何かの不具合で遅れたりしたら、「ムッとくる」ことは誰にでもある。しかし、その「怒り」を相手にぶつけ、「いつも遅れる」と追い詰めるのは最悪。言われた方も「いつも」では人格を否定されたようでムッとくる。その表情によりさらに「怒り」が「怒り」を呼び込む。結果的に、その負の感情のやり取りは商談にも影響してしまう。 このときに大事なのは後生大事に自分の価値観に固執するよりも、相手の立場や価値観の違いに関心と気遣いを持つことだろう。遅刻は誉められることではないが、電車の遅延や移動途中での小さなトラブルがあったのかもしれないからだ。 その後、部下の遅刻に怒り狂った本人が、なんらかの些細なトラブルで「遅刻」をしたりすれば、感情的に怒った相手の立場を理解し、少し寛容になるのではないか。時間や仕事に一見ルーズな人が人望を集め、実績を積む理由の一つはこのあたりにある。「自分に甘く、他人にも甘い」ことが、案外人間としての寛容さや器量につながっているのかもしれない。 ただ、安全確保の基本動作や、コンプライアンスに関することには、間髪入れずに「怒る」べきである。これは世間で受け入れられている「よい怒り」の一つである。
アンガーマネジメントの肝、6秒ルール、相手の話を聞く アンガーマネジメントの肝は「6秒ルール」と言われるものだ。「怒り」の兆しを感じたら6秒ほど待つ。「1,2,3,4,5,6」と心の中で数えればだいたい落ち着く。さらに、相手の話に耳を傾けることで、相手の立場や考え方に少し近づける。 1対1の対面での怒り、会議の場での怒り、部下や同僚が作成した書類やメールを読みながらの怒り、あらゆる場面で怒りが込み上げてくる。そんな時も6秒ルールが役立つ。 会議など皆の前でマウントされ罵倒された人はずっと根に持ち続ける。和解はほぼあり得ないので、とくに6秒ルールを自分に課したい。メール送信は記録に残るので、瞬間的な怒りの返信メールはとても危険、一晩じっくりクールダウンし頭がクリアな翌朝にメールするのを推奨する。怒りだけでなく、ミスや誤解が少なくなり返信に深みが増すからだ。
記録から始まる どんなことも記録から始まる。イライラしたこと、ムッとしたこと、怒りを感じたこと、コントロールできた・できなかったことを、その時の自分を取り巻く環境とともに記録する。相手、場面、話題、相手の言い方、自分の言い方も記録したい。 マウントをとる・とられたような言い回し、例えば「だから・・・」、「かいつまんで」、「わかりにくい」、「いつも」、案外盲点なのが口調によっては命令調になる「して下さい」である(LINEなどでは絵文字を活用)。相手が言った言い回しで怒りを覚えたこと、同時に「だから、・・・」などの怒りのトリガーになる自分の口癖について記録する。 そのときの疲れや忙しさ具合などの自分の状況、締め切り、会議、納期、相手、などを記録し、思い出したときに時折振り返る。 それを、自分にとっての内部環境と外部環境ともに分けて考える。それには、経営戦略の構築で馴染んでいるSWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)的な整理が役立つ。 自分の置かれている状況をしっかり客観的に把握し(SWOT分析)、会議や人と会う前には事前に起きそうなことをシミュレーションし、自分に警告を出すのである。
おわりに 一瞬の怒りによって、長い間かけて蓄積した見えない資産をお互いに失ってしまう。怒りを制御するアンガーマネジメントに少しでも関心を持つことで、自分や仲間はお互いにストレスフリーとなり、お互いに寛容になりコミュニケーションを維持拡大できる。 世の中や会社はいろいろな人の多様な価値観で成り立っている。自分の小さな価値観に意固地にこだわってもロクなことはない。自分に少し甘くなると相手に対しても甘くなり、相手の立場を理解し寛容になり、自然の流れとして人や知のネットワークが拡がる。 また、呼び捨てや「君(くん)」よりも相手や仲間を「『さん』づけ」で呼ぶ習慣、また、先ほど触れた「して下さい」よりも、「しましょう」とか「シェアしよう」という言い方がアンガーマネジメントの実践、よいコミュニケーションには有効だろう。
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株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授) 塩谷未知 |
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なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。
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関連情報 |
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情報番号 |
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◆ 怒り方が問題!「叱ってもらえた!」と思わせるコツ |
20190212 |
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◆ 双方向のコミュニケーションを意識する |
20200538 |
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◆ アンコンシャス・バイアスは「2つの言動」にあらわれる |
20210045 |
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◆ 自己認知力を高める② |
20210043 |
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◆ 自己認知力を高める③ |
20210044 |
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