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No.298 JRS メール配信サービス(2025.02.25)

JRSメール配信サービス発行

 

 

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「過労死」の問題が世間で注目を浴びて以降、様々な法律・政令等により労働時間の管理・削減が重要な経営課題となってきています。そのために、業務を見直して効率化したり、人員を増やして対応せざるを得ない企業も少なくありません。

働く人の立場からすると、体を壊したり精神を病んだりするまで追い込まれることのリスクが減ってきている訳ですが、他方、ビジネス人として成長するためには、ギリギリまで自分を追い込んで、その壁を乗り越えることも飛躍の要素になるように思えます。

今回は、「壊れずに成長するためのリスク管理-辛抱と逃避のカンを磨く」と題して、頑張ることと休むことのメリハリ、タイミングについて、労務管理や職場のメンタルヘルスについてもコンサル経験が豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏にお話いただきます。

 

 

 

 壊れずに成長するためのリスク管理-辛抱と逃避のカンを磨く

 

 

 

 自分のカラダやココロ、そしてアタマのいずれかの予期せぬ不調により、第一線から離れるビジネス人は思いの外多い。自分の周囲を見渡せば、それらしき人に思い当たる。

 ビジネス人として成長し、持って生まれた「天賦の才能」を開花させるには、目の前にあるチャンスや課題に対し、時には辛抱しながら挑戦し続けることが必要である。

 だが、その辛抱によって自分が壊れたら元も子もない。自分との卓越したコミュニケーションにより、過労などの壊れそうな兆しを「ヤバい」と敏感に感じ、自分を守るためにサボり、休み、逃避するカン(感・勘・観)を磨きたい。

 

辛抱し過ぎない

 目の前のキツイ仕事、辛抱しやり続けることでチャンスが広がることは多い。しかし、「石の上にも三年」と辛抱し過ぎては、過労死という最悪の結果を招くことがある。そこまで至らなくても、自分のアタマ・カラダ・ココロの何かが壊れることは避けたい。

 アタマを壊す。つまり、疲労のあまり知的好奇心が無くなりビジネス人として大事な「学習意欲・習慣」を失うこと、カラダ・ココロの病気や不調である。いずれにせよ完全に回復し、第一線復帰にはそれなりに時間を要することが多い。

 24時間365日働くことが推奨された時代があったが、身も蓋もない言い方をすれば従業員の立場ではやってはいけない。最低・最悪でも週に1日は仕事から離れて休まないと、アタマ・カラダ・ココロが疲労するだけでなく、職場の人間関係も不安定となる。「どうして、自分だけ」と周囲を恨むようになり、ギクシャクした静かな職場となってしまう。

 

自分の壁を超える

 職業的に開眼し成長するには、ある意味で所謂「自分の壁」を超えることが不可欠である。「できそうもない」ことに果敢に挑戦し「自分の壁」を超える、それにより職業的能力と信用・信頼は飛躍的に上がり、さらに次のチャンスがやって来る。

 一流スポーツ選手は「自分の壁」を超えるために、自らを極限まで追い込む。同じようにビジネス人も自分を追い込み、「自分の壁」を超えることで天賦の才能が開花するのではないか。

 若い時に大きな失敗をしたビジネス人が、後年活躍していることが多い。失敗への対応にはアタマ・カラダ・ココロを極限まで総動員せざるを得ない。つまり、自分に不足する情報・知識を獲得(アタマ)し、疲労の限界(カラダ・ココロ)まで、多くの人の協力を得ながら失敗に対処する。その過程で「自分の壁」を超え、さらに副次的に多くの知や人とのネットワーク構築していることが、その後の活躍の一つの要因になっている。

 

日本の社会は案外冷たい

まったく勉強せず、分数やアルファベットの理解が怪しくても大学を卒業し就職できるように日本の社会は甘く優しい。しかし、社会に出たとたん、「アイツ使えない」と簡単に放り出される冷たさがある。

 一国の首相が「まず自助」と言い切るように、自業自得、自己責任がますます強調され、平成時代の就職氷河期にはロストジェネレーションを生み出し放置されている。最近は、自助である家族による助け合いも、一人ひとりがしっかり自立し日頃から良好な関係を築き維持することが必須という、共助の範疇となっているのが現実である。

 日本は案外冷たい社会、「自分の身は自分で守る」というのが、現実的な「解」となる。

 

「ヤバい」と感じたら

 ビジネス人にとって、お客さんや職場でのコミュニケーションは大切である。さらに、自分のアタマ・カラダ・ココロと上手にコミュニケーションができるように日々感覚を研ぎ澄ましたい。実際、優れたスポーツ選手は自分とのコミュニケーション力に優れ、ケガすることなく長い現役生活を送ることができると言われている。

 喉(のど)の渇きを感じるセンサーは加齢により機能しなくなり、喉の渇きと無縁になり、水分補給が遅れがちになり熱中症になってしまう。そのため、トシヨリは「こんなに暑く、さっき水を飲んでから時間が経っている」と頭で考えて、理性的な水分補給をすることが推奨されている。

 疲れ過ぎの場合、若い人でも疲れセンサーが麻痺し、眠いはずなのに眠くならないようだ。そんなときには「ヤバい」と敏感に感じるようにカン(感・勘・観)を研ぎ澄まし、その兆しを感じたら行動に移す。具体的には、休んだり、サボったり、仕事を辞めたり、などと自分が壊れることを避けたい。

 具体的には、「疲れているはずなのに、疲れを感じず眠くない」、「何でもできるという全能感」などは壊れる危険な兆し。また、「あれっ、どうかしたの」という周囲の人の表情や口調のわずかな変化にも敏感になりたい。

 自分とのコミュニケーションは、物理的な鏡により自分の「眼・顔色・声」と向き合うことから始まる。同時に見えない鏡ともいうべき、よい仲間を身近に持つ。どちらかの鏡に小さな変調を感じたらサボり、休み、そして、回復しなければ逃げだそう。

 日々の生活や仕事の記録をする習慣はここでも役立つ。睡眠時間、食事の量と内容、仕事の時間と負荷、新聞や本を読むのが億劫、などを記録し時々気紛れに冷静に振り返る。疲れているはずなのに疲れを感じなかったら、自分に問題が起きる兆しであることが多い。

 

おわりに

 ビジネス人が成長し天賦の才能を開花させるには、チャンスに向き合いギリギリまで辛抱し「自分の壁」を突破することが求められる。自分とのミュニケーション力を研ぎ澄まし、「ヤバい」と兆しに気づきサボり、休み、最終的には壊れる前に逃げるのもありだ。

 どんな職場や会社、仕事にも学ぶべきことは多々ある。それを学び身につけるには辛抱も大事だが、辛抱し過ぎて自分が壊れてしまっては元も子もない。ギリギリまで辛抱し、危ないと思ったら休んだり辞めたりと逃避するというカン(感・勘・観)が大切。

 また、職場の管理者や経営者は、よく働く従業員に甘えることなく、「ヤバい」兆しを感じた瞬間に強制的に休ませることが求められる。

 

 

 

株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授)

塩谷未知 

 

 

 

 なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

 

 関連情報

 

 

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情報番号

 

 

 自分の変化に気付くこと/身体的、精神的変化

20110813

 

 

 休養、睡眠、3つのR

20110814

 

 

    早期発見のために

20110842

 

 

 ストレスチェック制度の概要

20150298

 

 

 会社として社員の健康管理にどのように取組めばよいか

01041299

 

 

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