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No.304 JRS メール配信サービス(2025.08.25)

JRSメール配信サービス発行

 

 

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近年、"コンプライアンス"という言葉が会社の中だけでなく世間でも幅広く使われ、「コンプラ違反!」や「コンプラに注意!」ということが頻繁に言われるようになってきたのではないでしょうか?

しかし、若い世代、特に学校を出たばかり新入社員は、本当にこの言葉の意味するところを分かっているでしょうか。学校では、先生が"コンプライアンス"を意識することはあっても、学生・生徒が"コンプラ"を気にすることはなかったでしょう。

そこで今回から数回にわたって、人事コンサルティングや人材育成・能力開発のための教育に詳しい株式会社KakeruHR代表取締役の一松亮太氏に、若い社員も理解しやすいよう、事例を交えて"コンプライアンス"についてお話をいただきます。

 

 

 

 職場で新人・若手に伝えたいコンプライアンスの本当の意味

 

 

 

 「ルールを守る」だけがコンプライアンスではない

「コンプライアンス」と聞いて、あなたの会社の新人や若手社員はどのような反応をするだろうか?

「決まりごとを守ればいいんですよね?」という認識が多いかもしれない。しかし、これはコンプライアンスという言葉が持つ本来の意味のごく一部に過ぎない。

そもそも、コンプライアンスとは単にルールや法令を守ることだけではない。もちろん、ルール遵守はコンプライアンスの基本ではあるが、本質的には「組織としての信頼を守る」ことを意味する。小さなルール違反や見落としが大きな問題に発展し、結果として会社の社会的信用を損なうケースは決して珍しくない。

 

小さな違反が会社を揺るがす-実際のトラブル事例

ある日常業務での「小さな判断ミス」が企業の存続を脅かす危機に発展する-これは決して大げさな話ではない。ある中堅企業で、若手社員が取引先から預かった顧客の個人情報が記載された資料を、納期に追われ「今日だけ」と自宅へ持ち帰ってしまった。その日の深夜、自宅で作業をしている最中に私用のクラウドサービスへ資料を一時的にアップロードしたが、誤って「誰でも閲覧できる」公開設定になっていた。

翌朝、匿名で「御社の顧客情報がインターネット上で閲覧可能になっている」との連絡が入り、問題が発覚した。この資料漏洩はSNS上でも瞬く間に拡散され、取引先や一般顧客からの問い合わせが殺到。業務対応が一時的に麻痺するほどだった。さらには新規契約が見送られるなど、経営へのダメージも深刻だった。ほんの数クリックの操作、たった一人の判断が、数十年かけて築いた企業の評判を一夜にして崩壊させる現実を、私たちは直視する必要がある。

 

失った信頼は簡単には取り戻せない

この事例で注目すべきは、「ルール違反」の表面的な問題だけではない。最大の問題は、「会社の信頼が損なわれる」という深刻な事態である。ただ一度の「ルール違反」が取引先や社会からの信頼を失うことになり、そのダメージは計り知れない。信頼の回復には数ヶ月、あるいは数年という長い時間を要し、その間にビジネスチャンスを逃し続けることになる。一度漏洩した情報は決して回収できず、その事実は企業の歴史に刻まれ続ける。また社員のモチベーションの低下や優秀な人材の流出など、目に見えない形でも組織に深い傷を残すのである。

こうしたリスクを若手社員に正しく理解させるためには、「コンプライアンスは何のためにあるのか」を伝えることが欠かせない。「ルールを守るのは、ただ上司に叱られないためではない。会社や取引先、そして自分自身を守るためだ」ということを職場全体で共有し、日々の行動に結び付けることが大切だ。

 

職場全体で伝えるコンプライアンスの意味

とはいえ、ただ頭ごなしにルールを押しつけるだけでは若手社員の意識は変わらない。例えば、日常的な業務の中でちょっとした話し合いや共有の場を作り、「もし〇〇のルールを破ると、どんなことが起こるかな?」といった問いかけを投げかけてみるとよい。 若手自身に考えさせ、自分で納得して行動できるようになると、コンプライアンスはただの"知識"ではなく、生きた"意識"として定着していく。

今後の機会にも、「ちょっとした違反が招く怖い結果」や「職場で簡単にできるコンプライアンス教育」など、職場全体で取り組める具体的な工夫をお伝えしていきたい。若手社員が未来に後悔しないために、そして職場全体が安心して働ける環境を守るために、ぜひ実践のヒントにしてもらえれば幸いだ。

 

コンプライアンスを「みんなで守るもの」に

コンプライアンスを「守らされるもの」から、「職場みんなで守っていくもの」へと意識を変える第一歩を踏み出そう。

 

 

 

株式会社KakeruHR 代表取締役

一松 亮太 

 

 

 

 なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

 

 関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

 コンプライアンス違反の類型と損失

20240332

 

 

 従業者や委託先による個人情報の漏洩と会社の責任

01081973

 

 

 個人情報漏えい事故と企業の責任

01082026

 

 

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