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No.305 JRS メール配信サービス(2025.09.29)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

前回のメルマガでは、"コンプライアンスの本質が何か"ということを、新人や若手にどう伝えるかということについて、実際のトラブル事例を交えて株式会社KakeruHR代表取締役の一松亮太氏にお話いただきました。メールやテレワークでのやり取りも増え、対面での会話も少なくなってきている昨今ですが、"コンプライアンス"意識を高めていくためには、やはりコミュニケーションが重要ではないでしょうか。

そこで今回は、「若手社員が育つ職場―コンプライアンス意識を高めるコミュニケーション」と題して、引き続き一松亮太氏にお話をいただきます。

 

【参考】「職場で新人・若手に伝えたいコンプライアンスの本当の意味」

JRSメールマガジン304号)

 

 

 

 若手社員が育つ職場―コンプライアンス意識を高めるコミュニケーション

 

 

 

若手社員のコンプライアンス意識は、日常の会話で育つ

先月のメルマガでは、コンプライアンスの本質が「組織としての信頼を守ること」であるとお伝えした。とはいえ、「新人・若手社員のコンプライアンス意識をどうやって育めばいいのだろう?」と悩む管理職や先輩社員も少なくない。

実は、この問いへの答えは意外とシンプルである。特別な研修や難しいルール説明も重要だが、最も効果的なのは、職場での日々の基本的なコミュニケーションを充実させることである。

 

「ミスを隠す若手社員」の問題はどこにあったのか?

ある中小企業で実際にあった事例を紹介しよう。その企業では、若手社員が業務ミスを隠すことが多く、小さな問題が後々大きなトラブルに発展していた。管理職は「ミスがあったらすぐに報告を」と繰り返したが、なかなか改善されなかった。

 

「気軽な声かけ」でミスの早期発見を促す

そこで職場全体でコミュニケーションを見直す取り組みを始めた。例えば、ミーティングや日常の業務で、管理職が「昨日の仕事で何か気になったことはない?」と軽く問いかけたり、「困っていることはないかな?」と若手社員に声をかけたりするようにした。ある日、若手社員の一人が「実は昨日、小さなミスをしてしまったのですが、どうしたらいいか迷っています」と初めて自発的に相談してきた。管理職が丁寧に対応した結果、その問題はすぐに解決され、大事には至らなかった。また、別の若手社員は以前、小さなミスを報告した際に叱責された経験があったため、なかなか相談できない状況だったという。

この取り組み以降、「ミスを報告しても怒られない」という安心感が職場に浸透し、小さなミスの報告が増えた結果、大きなトラブルの予防につながった。

このように、日常的なちょっとした声かけを増やしたことで、若手社員が自発的に相談や報告をすることが増え、小さな問題の早期解決につながった。職場の雰囲気も次第に良くなり、結果的にコンプライアンス上のリスクも大幅に軽減された。つまり、基本的なコミュニケーションが充実することで、自然とコンプライアンス意識が高まったのだ。

 

コミュニケーションが良くなると、なぜコンプライアンスも高まるのか

ここでのポイントは、「ミスを隠すな」と叱責するよりも、「気軽に話せる雰囲気」を作り出すことの方が効果的だったということだ。若手社員は経験が浅く、ミスや判断に迷う場面が多い。その時、「誰にでも相談できる安心感」がある職場であれば、コンプライアンス上のリスクは自然と低下する。信頼関係が築かれた環境では、問題が小さいうちに発見され、適切な対処が可能になるからだ。また、オープンなコミュニケーションは「隠す慣習」を「共有する文化」へと変え、組織全体の透明性と誠実さを高める。結果として、一人ひとりが「監視されている」という圧迫感よりも「チームに支えられている」という連帯感を持つようになり、自発的なコンプライアンス意識が根付いていく。

とはいえ、コミュニケーションの活性化がすべてを解決するわけではない。「コミュニケーション活性化=コンプライアンス問題解決」という短絡的な考えは避けるべきである。重要なのは、「なぜコミュニケーションを充実させる必要があるのか」を職場全体で共有し、「組織の信頼を守る」というコンプライアンスの本質に紐づけることだ。

 

「安心して相談できる職場」を目指そう

ぜひあなたの職場でも、日常のさりげない声かけを少し意識してみてはいかがだろうか。「気軽に話せる職場」を育てることで、コンプライアンス意識が自然に根付く環境が整っていくはずだ。まずは今日から、若手社員とのちょっとした会話を意識してみるといいかもしれない。

今後の機会にも、さらに職場で実践できるコンプライアンス意識向上のヒントをお伝えしていきたい。職場みんなで、若手社員が未来に後悔しないための環境づくりを進めていこう。

 

 

 

株式会社KakeruHR 代表取締役

一松 亮太 

 

 

 

 なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

 

 関連情報

 

 

JRS経営情報(PDFサンプル)

 

 

 

 

情報番号

 

 

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