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No.307 JRS メール配信サービス(2025.11.25)

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新人や若手社員に"コンプライアンス"の意味を的確に伝え、会社の危機を未然に防ぐシリーズの4回目です。

社会的な非難を浴び、会社の危機につながるような大きな問題は、社内でのちょっとした違反の黙認や油断から始まるものが少なくありません。「これくらいなら大丈夫、大目に見ておこう」といった雰囲気が職場に漂っていることが大きなリスクにつながることがあります。

今回は、大きなトラブルに繋がりかねない見えないリスクを察知するための職場づくりについて、人事コンサルティングや人材育成・能力開発のための教育に詳しい株式会社KakeruHR代表取締役の一松亮太氏にお話をいただきます。

 

 

 

 「うちの職場は大丈夫?」―見えないリスクを察知する職場づくり

 

 

 

"うちには関係ない"と思ったときが一番危ない

ある総務責任者は、社内でのコンプライアンス研修の際、こんな反応に戸惑ったという。

「それって大企業の話ですよね?」「うちは風通しが良いから大丈夫です」──

この「うちは大丈夫」という思い込みこそ、見えないリスクが生まれる土壌である。

 

職場には、問題の"芽"があっても見過ごされる瞬間がある。

ルールの形骸化、小さな違反の黙認、無自覚なハラスメント。

 

誰も悪意を持っているわけではないのに、少しずつ「それが普通」になっていくのだ。

特に中小企業では、「身内感覚」や「お互い様」といった言葉で、問題意識が薄れてしまうケースも少なくない。良好な人間関係の裏に、曖昧なままにされているルールが隠れていることもある。

 

小さな違和感の黙認が始まり

ある中堅企業で起きた実際の事例だ。

経理部門で、ある社員が頻繁に領収書の提出期限を過ぎて精算処理をしていた。

同僚は「またか」と内心思っていたが、本人のキャラクターや部署の雰囲気から注意しづらく、何となくやり過ごしていた。

やがてその社員は「期限に遅れても通る」と考えるようになり、それが習慣化。そしてあるとき、過去の領収書を"自己申告で再発行"して経費処理するという行動に出る。

本人に悪気はなかったが、社内の内部監査での指摘もあり、"おおごと"となり、社内外の信頼の失墜につながり、重要な取引に影響が出る事態となった。

また、類似のケースで、とある自治体では実際に問題視され、経費処理のルール見直しと上司の指導責任が問われる事態に発展した。

この社員に過去注意がなかったわけではない。上司も何度か軽く指摘はしていたが、「本人も反省しているようだし...」と深追いせずに終わっていた。結果的に、黙認と受け取られてしまった形である。

 

リスクは見えないところで静かに育つ

このように、最初の時点では「注意すれば済んだこと」が、誰も何も言わないことで"暗黙のOK"となり、気づけばそれが組織の「慣習」になってしまう。こうした現象は、ハラスメント、情報管理、経費処理、勤怠など、あらゆる領域で起こり得る。

実際、この企業では同じように申請ミスを繰り返していた社員が他にもいたことが、問題発覚後に明らかになった。「あの人がやっているなら自分も大丈夫だろう」という"同調行動"が静かに広がっていたのだ。

 

見えないリスクを察知する職場に共通すること

リスクに敏感な職場には、共通点がある。

それは、「小さな違和感を共有できる場」があるということだ。

たとえば──

「あれ、ちょっとおかしくない?」という声が、会議や休憩中の雑談で自然に出てくる

「こういうときどうしてますか?」という相談が、上下関係を超えて出てくる

「これってOKなんだっけ?」と曖昧なことを"聞ける空気"がある

 

これは制度ではなく、「職場の空気」に近い。

それがあるかどうかで、リスクの"見え方"は大きく変わってくる。

ある職場では、毎月の終わりに「もやもや報告ミニアンケート」という5分で終わる匿名シートを実施している。制度というほど大げさではないが、違和感をすくい上げる仕組みとして効果を上げている。

 

今日から始める"気付きの場づくり"

見えないリスクを可視化するために、特別なツールや制度が必要なわけではない。まずできることは、ちょっとした声かけや共有の場を持つことだ。

 

「最近、気になることある?」

「業務で迷ったことってなかった?」

「これってグレーかも?と思ったことってある?」

 

こうした問いかけを、日常の業務の中にさりげなく組み込んでいく。リスクに"鈍感"な状態から、"気付きやすい"職場へ。それは一人の声から始まる。

さらに、こうした声を拾い上げるためには、管理職やリーダー層の姿勢も重要だ。「何かあったら言ってね」ではなく、周囲の様子に気を配り、「最近どう?」と自ら歩み寄る姿勢が、安心して話せる空気をつくる。加えて、共有された違和感に対して、すぐに改善策を検討する「反応の速さ」も信頼構築には欠かせない。声を上げた人が「言ってよかった」と思える経験が、次の声を生む。こうした積み重ねが、見えないリスクを早期に察知できる職場づくりにつながっていく。

 

 

 

株式会社KakeruHR 代表取締役

一松 亮太 

 

 

 

 なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

 

 関連情報

 

 

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情報番号

 

 

 潜在リスク発見の着眼点/能力の側面②組織の能力不足

20240338

 

 

 リスク対策の心理学①(認知バイアス)

20240364

 

 

 職場の人間関係や仕事に影響するアンコンシャス・バイアス②

20210063

 

 

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