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No.315 JRS メール配信サービス(2026.07.27)

JRSメール配信サービス発行

 

 

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最近、生成AIは著しく進化し、ビジネスの世界だけでなくスマホやパソコンを通して日常の生活の中にも様々な局面で利用されるようになってきました。AIにどんなプロンプトで指示すれば、自分の期待する結果が得られるか、頭を悩ます方も増えているのではないでしょうか?

ビジネスの世界では、いつの時代もどう生産性を上げるのか、業務を革新するのかが課題となりますが、AIはそうした課題に対する答えやヒントも的確に提示してくれるようになっています。

ふと振り返ると、一人の人間としての自分は、このAIが進化してきた世の中で、どのような役割を果たせばよいのか分からなくなってしまうことがありませんか?

そこで今回は、「自分の立ち位置とAIとのつきあい」と題して、過去数十年、ビジネスの変化を幅広く観察し、また、人材育成や人材活用にも造詣の深い元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏にお話をいただきます。

 

 

 

 自分の立ち位置とAIとのつき合い

 

 

 

 原稿を書きながらネットを眺めると、毎分毎秒米国IT企業からAI新商品が提案されている。取り残されてはと不安に駆られAI関係をクリック、するとパソコン(PC)画面はAI商品と研修、そして副業などの関連サービスの百花繚乱とも言える広告に占拠される有様。

 AIに乗り遅れては生き残れない「不安」、生産性100倍などと誇大な業務革新、そしてAI副業を含めた「希望」でしつこく煽られる。社会に出てから半世紀の間に何度か出合った既視感に囚われながら、AIとのつき合い方について思案している。

 

PCとのつき合いを振り返る

 仕事と生活にデジタルイノベーションを引き起こした元祖である、PCとのつき合いを振り返ると、AIとのつき合い方のヒントが得られるのではないか。ウィンドウズ95が発売されるとPCが爆発的に世の中に普及、加えて情報化社会に革命を起こしたインターネットが身近なものになった。21世紀初めにはネットビジネスバブルが起き、その頃に生まれた日本のIT企業は、米国・中国とは比べものにならないが、それなりの規模に成長している。

 1980年代のPC普及期、アプリケーションソフト(アプリ)とメモリーはイマイチ。とにかく使い勝手やコストパフォーマンス(コスパ)が悪い上に、コンピューターの基礎知識がないと活用するには敷居が高かった。オフィスの机にじっと座ってPCと悪戦苦闘するわけにはいかない第一線の管理職にとって、PCは厄介な存在だった。その後、PC操作性の向上、会社業務の仕組みの大変化があり、あっという間に普及した。 

 PCを使わなければ出張の精算すらできなくなり、困ったミドルと言われた人たちもPCを使うようになった。結果的にPCへの取り組みが遅れた分だけPCが進化し使いやすくなり、効率よくPCスキルを身につけることができた。

 現在ではPCを使えないと、ある意味で「読み書きができない」のと同じである。一方でPCスキルを学ぶための習得ゲームなども普及し、PC学習のタイムパフォーマンス(タイパ)・コストパフォーマンス(コスパ)は、PC普及の初期に比べると隔世の感がある。

 また、PCの普及に伴いネット検索、ワードプロセッサー(ワープロ)、表計算などのアプリは、多くのIT企業から数多くの商品が市場に提案された。現在では市場は落ち着くところに落ち着き、誰でも使い易いグローバルスタンダードの商品が普及している。

 

フォロワーのコスパ・タイパのよさ

 イノベーターとしてAIの新しい商品を開発し世界的IT企業になるというのは、米国と中国の先進企業が圧倒的に先行しており現実味はないだろう。普通の会社や個人は、先進企業が開発した自分に合った・自分がやりたいことを実現するAIモデルを選択し、タイミングよく仕事に取り込むのがよさそうだ。

 伝統的製品ライフサイクル論によれば、新製品発売後、時間の経過とともにお客さんは変遷する。誰よりも早く買い求める革新者(イノベーター)、順に早期採用者、前期追随者(フォロワー)、後期追随者、遅期追随者、そして、全く使わない人たちとなる。

 IT関連企業の場合、当たり前だがイノベーターとしていち早くAIに取り組み、新ビジネスを創出する必要がある。一方、ITビジネスでない普通の企業は、AIは早晩普及し社会やビジネスのインフラになるので、しばらくは試しながらの様子見がいいのではないか。2番手や3番手として、先行する企業の「滑ったり転んだり」をじっくり眺めながら、タイミングよくAIに本格的に取りかかるのがコスパ・タイパがいいと素直に思う(これまでの長いPCとのつき合いからも確信している)。

 もちろん、自分の立ち位置が経営層なのか、管理層なのか、現場なのか、つまり、全社、部署、個人の立場で取り組むのかによっても異なってくる。経営者の場合は世の中に先行しなくても、遅れないようにアンテナを張りながら自社の打ち手を考える。こんな時に役立つのがカン(感・勘・観)のいい経営者仲間とのつき合いである。個人の立場では、会社のセキュリティーに問題が起きないように日頃の業務にAIを使い馴染んでおきたい。管理者は職場のAI活用についてセキュリティー面に注意を払いながらウォッチを続け、必要に応じて経営層に提案することが期待される。

 

ワンテンポ遅れて「真似をする」のがいい

 AI商品開発に、これまでの常識では考えられない何兆円という規模の研究開発投資がなされている。同時に世界中の多くの人がAIを使い、ある意味で世界中がAI開発の共同開発者になっているわけだ。その結果、これまで続いている世の中のデジタル化「小・安・速・易・移・賢」(つまり、小さく・安く・速く・使い易く・移動性・賢く)のトレンドは、かつてない規模とスピードに加速されている。

 その結果、PCやスマートフォン(スマホ)と同じように誰でも必ず使うようになるが、かといって先陣を切るトップランナーになる必要はないだろう。普通の会社の場合、タイパ・コスパを究めるには、自分たちはフォロワー戦略を徹底するのがよさそうだ。

 先行する企業の試行錯誤に学び、上手に会社の業務に取り入れていく。自分の会社やチームをサポートする所謂AIエージェント(AI部下)なんかも、近い将来AIに相談しながらつくり上げるパッケージ化(既製品)が進むに違いない。

 賢く進化するAIに相談しながら、自分たちが「やりたいこと」を実現できる、使い勝手のよい既製品が出てくるはずである。これはPCの普及過程の振り返りからも確信できる。 

 ワンテンポ遅れてもAIを導入し適応するためには、当たり前だが業務の整理・共有とデジタル化の推進は進めたい。それさえ日常的にやっていれば、AI、そしてAI以外の変化・変革には速攻で対応できると、率直に思っている。

 

おわりに

 1950年代、1980年代に続く第3次のAIブーム、今回のブームは基盤技術のソフトやハードの大進化があり、これまでとは異なり第3AIブームでは終わりそうにない。

 AI商品・サービス提供者は不安と希望を煽っているが、「慌てず、焦らず、踊らされず」、冷静に自分たちの立ち位置を見つめ、「何がやりたいか・できたらいいか」をしっかり描きながらフォロワーに徹するのが賢い戦略である。

 

 

 

元青森中央学院大学教授

塩谷未知 

 

 

 

 なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

 

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