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No.280 JRS メール配信サービス(2023.08.28)

JRSメール配信サービス発行

 

 

いつも、メルマガをご愛読いただき、有難うございます。

 

以前勤めていた先でのことです。テレビCMなども多く、誰もが知っているような優良企業とお取引がありました。資本金は小さいのですが財務内容は抜群です。過去の取引経緯などの情報がなかったので、恥ずかしながら「なぜ取引していただいているのか」と聞いてみました。先方の役員さんは「詳細は分からないのですが、歴代担当者から継続するよう引継がれています」と聞き、先輩たちがいかに良い仕事をしていたのか、頭が下がる思いであると共に、どんな仕事をしたのか知っておく必要があると感じました。

そこで今回のメルマガは、「お客さんとの取引経緯を伝承することの大切さ」というテーマで、コンサル経験豊富な元青森中央学院大学教授の塩谷未知氏に取引経緯の大切さについて、解説していただきます。

 

 

 

お客さんとの取引経緯を伝承することの大切さ

 

 

 

自分の経験を少し書きたい。

 やっとの「思い」で新規取引口座を開き、取引を始めた思い出がたくさんのお客さん、諸般の事情でそこを離れしばらく経ってから風の噂を聞いた。「あそことのおつき合いはなくなった」と。お客さんへの自分の「思い」を仲間に伝えきれなく、なんとも忸怩(じくじ)たる思い。

 お客さんとの取引経緯はしっかり伝えたり共有することの大切さを、身をもって知った瞬間である。

 自分たちのモノやサービスを、長期にわたって安定的に購入するお客さんは、企業が存在し続けるための"神様"である。そのお客さんはある日突然天から降って来たわけではなく、長い時間をかけて先輩たちが関係を築き維持してきたわけだ。

 私たちはそのお客さんについてどれだけ知っているか、どれだけ共有しているか。

 昭和の古きよき時代のオヤジたちは、よくも悪くも自分の成功物語や自慢話を後輩たちに呆れるほどしたものである。何度も聞かされ嫌な思いをした次世代は、昭和のオヤジとは異なりある意味でスマートになってしまい、自慢話をあまりしなくなった。

 その結果起きたこと。お客さんとのおつき合いの始まり、その後の長いおつき合い、言ってみればお客さんとの取引経緯が社内で共有されず伝承されなくなっている。

 見えない営業資産を共有しない、これはとてもマズイ。

 

お客さんをどれだけ知っているか

 先日お伺いした建設資材商社でのこと。営業の担当者に、いくつか質問を投げかけてみた。「売り上げが大きいお客さんはどこですか、その次はどこですか」、「その売り上げはどのくらいですか」、「お客さんの数はどれくらいですか」、などである。

 突然の質問に即答できた営業担当者は当事者意識が高く、なかなか優秀であると思ったので、今度は次のような質問をしてみた。

 「売上ナンバーワンの企業とのおつき合いは、いつ始まったのですか」、「どのようなキッカケで始まったのですか」、「その時の当社の担当者は誰ですか」、「その後、感謝されたりクレームとか何かありましたか」、など少し意地悪な質問である。

 営業担当者にとってみれば、現在のお客さんは謂わば「あって当然」とは言い過ぎでも、それに近いのが普通である。

 その優秀な営業人は答えに口ごもった、ここに落とし穴がある。

 

取引口座を開く、新規取引の難しさ

お客さんが気づいていないニーズを先取りした画期的な新商品やサービスだと、お客さんから近づいてきて取引を開始する。所謂"口座を開く"ことは比較的容易であるが、あくまで例外である。多くの商品やサービスは、自分たちの商品・サービスの特徴やサプライチェーンの安定性について説明し、お客さんに納得していただいて初めて取引が始まる。

新規の取引はお客さんにとってそれなりにリスクがあることなので、最初のうちは何か問い合わせがあればすぐにお客さんのところに駆けつける。その地道な積み重ねが長い取引につながる。

新規取引、とにかくお客さんを訪問し自分たちの商品やサービスを説明し、新規取引のメリットを説明するところから始まる。業種によっては、お客さんに会うことすら難しい。

昭和の時代には厳然と存在した系列グループの場合ですら、系列グループの見込み客との商談は、最初に会うところまではスムーズに進む。しかし、その後、系列グループというメリットはほぼ存在しない。

 お客さんにとっては既存取引先とは長年培った深い信頼関係があり、無理に新しいところとつき合う必然性はないのが自然。そんなことを乗り越えて新規に取引口座を開いた、その担当者と取引に至る経緯は会社で共有(シェア)し記憶したい。

 

取引経緯を伝承することの大切さ

 先日お会いした精密機械の部品製造の会社の社長が怒っていた。「やっとの思いで取引を一昔前に始めたのに、お客さんから取引を切られた」と。

 社長にとって、そのお客さんとの取引はいいこともあれば嫌なこともあったのは事実。QCD(品質、コスト、納期)に厳しい取引は、自分の会社を鍛え、そのお客さんとの取引は、「あの会社と取引があるのですか」と業界内での信用力を上げた。

 営業活動を引き継いだ若い営業人にとって、そのお客さんは数あるお客さんの中の1つに過ぎず、昔から取引先として存在し面倒なだけ、と錯覚して当然でもある。案外、"わがまま"で手間のかかる割には売り上げが少なかったかもしれない。

 ありがちなことであるが、そこに落とし穴がある。

 お客さんから見れば違った光景が見える。「うちと取引をしたい会社はいっぱいある、うちとつき合うことで会社のレベルが上がったはず」とまでは傲慢ではないにしても、担当者が新しくなったのを機に取引を見直すことがママある。取引を始めた頃のこと、その後のよいこと悪いこと、いい思い嫌な思い、トラブルの発生、感謝されたこと、できるだけ社内で引き継ぎ営業人とは共有したい。営業数字だけでない会社としての「思い」を社内外で共有することで、取引は安定し情報やノウハウなどの見えない収益を会社にもたらす。

 

おわりに

経営コンサルティングのクライアントとお話をしながら、売り上げはそれほどでなく案外手間ヒマがかかる効率悪いお客さんと、どうしておつき合いしているのか、疑問を持ったことは多い。若い時は効率の悪いお客さんとの取引は縮小すべきと思ったのは事実。

 しかし、長い取引を通じ得たものも多い。今では一見効率は悪いがノウハウや信用などの見えない利益をもたらしてきた(いる)お客さん、売り上げが大きいお客さん、どちらも取引経緯を社内外で共有伝承することで、ある日突然取引が切られるリスクは低くなる。

 営業担当者の取引先への「思い」が深まり見えない絆が深まり、むしろ、流行り言葉で言えばWin-Winの関係が維持できるのではないか。

 

 

 

株式会社アイベックス・ネットワーク 委嘱コンサルタント(元青森中央学院大学 教授)

塩谷未知 

 

 

 

なお、「JRS経営情報」の次のコンテンツもご参考にしてください。

 

 

 

関連情報

 

 

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情報番号

 

 

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